待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~

(少しは嫌なところ思いださないと。全然忘れられない)

 そう思って、頭をひねる。
 いつも優しくて、私のペースにもあわせてくれて、よく笑って……。いや、これはいいところだ。

――ひより、お前、俺のこと、本当に好きじゃなかっただろ。

 そのとき、一年目の記念日の夜喧嘩して、彼が私に言った言葉が脳裏に浮かんだ。
 それを聞いたとき、私はショックのあまり言葉に詰まった。

(そんなわけない。本当に、本当に……)

「本当に壮一が好きだったし、やっぱり今も好き!」
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