待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~
「んんっ!」
そのまま激しく唇が合わせられ、舌が口内に入り込む。
こんなキスははじめてで驚いて目を白黒させる間にも、柑士さんは私のワンピースの裾から手を差し入れていた。
「や、ま、待ってください……!」
慌てて柑士さんを止めようとするが、組み敷かれた身体も手も全く動かない。
柑士さんはいつのまにか泣いていた私の涙を指先で掠め取って、それから、意地悪に笑う。
「恋人もいたなら経験がないというわけでもないだろう。婚約期間だから避妊はするが、抱くことは我慢しない」
そう言って、柑士さんは自分のシャツを邪魔だというように乱暴に脱ぐ。
男らしい上半身が目に飛び込んできて思わず視線を逸らす。
(このまま、すぐに奪われてしまうんだろうか)