待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~
私が泣きそうになっていると、和美は微笑む。
「大丈夫よ。副社長、とんでもなく仕事もできるって有名だし、いつも冷静さを失わないところが評価されてんだし。どんなひよりでも全部大きな包容力で受け止めてくれるよ。はじめてをもらってもらうにはうってつけの相手だと思うわよ。ちゃっちゃともらってもらいなさい」
「ハハ……」
私が渇いた笑いを出すと、和美は真剣な顔になって言う。
「そうでもしないとさ、あんたは壮一くんのことふっきれないでしょ。このままじゃ、あんたも幸せになれないし……副社長だってかわいそうだよ」
そう言われて私は言葉に詰まる。
「それは、そうだよね」
(それはきっと、和美の言うとおりだ)
私が頷くと、スマホが鳴った。
表示を見ると、【柑士さん】と出ている。
何かと思ったけど、電話で店の名前を聞きだされ、訳の分からないまま答えると、すぐ柑士さんが迎えに来てくれて和美も送ってくれたのだ。