待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~
婚約して同棲して、あの初日の夜から私は布団を自分の部屋に持ち込んで寝ていた。
それすらも、柑士さんは認めてくれていた。
でも私はその日の夜、本来の寝室の――
あのキングサイズのベッドのある寝室の扉を叩いていた。
時間は遅かったけど、どうぞ、と声が聞こえて、開けてみるとベッドの上に柑士さんがいる。
あの引っ越し初日のことを思い出して、胸がドキンと跳ねた。
「ひより、どうした?」
柑士さんは優しい口調で聞く。
私はぐっと唇を噛んで、それから口を開く。