待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~

「今夜、抱いてほしいです」

 できるだけ、はっきりと告げた。
 柑士さんに断られる可能性だってある。

 柑士さんは大人だから、もしかしたら『まだ忘れられていない今はやめておこう』とでも言われるかもしれない、と思っていた。それは少し期待していた部分かもしれない。

 しかし、柑士さんはベッドから立ち上がり、寝室の入り口に立ちすくむ私の前まで来た。
 そして頬に手を当て、まっすぐ私を見つめる。

「いいのか」

 それは最後の意思の確認のように思えた。
 私はぐっと唇を噛んで頷く。

「はい。だって、私は、柑士さんと結婚するんだから」

 私が言い終わる前、柑士さんは私を抱き上げ、ベッドの上にそっと下ろした。

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