待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~
5章:彼の独占欲

 彼と初めて肌を重ねた次の日、彼が言ったこともあって風邪だと嘘をついて会社を休んだ。
 そしてその次の日、会社に行ってみると、椎野さんが走ってきてくれた。

 その姿にどきりとして、思わず顔を背けそうになる。
 しかし、椎野さんは可愛い笑顔で話しを始めた。

「おはようございます。風邪、もう大丈夫ですか?」
「う、うん。ありがとう」
「でも、まだ少し具合悪そうですね?」
「え、そ、そうかな……」

 私が慌てると、椎野さんがじっと私の方を見ていた。
 それから、急に、ニッと笑うと口を開く。

「なんだ、やっぱりラブラブなんですねぇ。うらやましい!」
「いや、うちはそんなこと――」
「じゃあ柑士兄さんのいたずらですね。でも、見えるところに主張しすぎでしょう」

 そう言って椎野さんは私の首元を指さす。
 え? と思ったとき、手鏡を出してくれた。

 見てみると、昨日つけられたのか、それとも一昨日の初めての夜のものが残っているのか……。首筋に赤い印がたくさん散っている。

「えぇっ……」

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