待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~

 思わず頬を熱くして黙り込むと椎野さんにストールを渡される。

「今度会ったときに、見えないところにつけなよって注意してあげますから。とにかくこれどうぞ。今日のコーデなら、この色が合いそうです」

 そう言ってニコッと可愛い笑顔で微笑まれ、薄いグリーンとイエローの花柄ストールを渡される。
 今日は黒いトップスを着ていたので、確かに合いそうだ。

「あ、ありがとう」
「いいえ、従兄の不始末ですし」

 そう言って、いたずらっぽく椎野さんが笑う。
 その笑顔が、柑士さんに少し似ている、と思ってしまった。

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