待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~

 その日、帰りのエレベータ。
 役員用は役員のカードがあればどの階でも止まるらしく、柑士さんとそのエレベータに乗り込む。

 エレベータに乗り込んでも、私は無言だった。

「何を怒っている」
「もう、経理に来るのはやめてください」

 私が言うと、柑士さんはあたり前のように言う。

「虫よけも必要だろう」
「経理は20階だし、虫なんてほとんど入ってきませんよ」

 私が言うと、柑士さんは苦笑する。
 なんだかバカにされたようで、むっとして振り返ると、柑士さんは私の手を取ってエレベータの壁に縫い付けた。

「んんっ……!」

 と思ったら、なんとエレベータの中でキスをしたのだ。
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