待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~
婚約してからずっと、私は柑士さんに振り回されっぱなしだ。
次の日、私は昼の食堂で、和美に向かってぼやいていた。
「12歳上って、あんまり大人じゃないんだね」
「なにそれ……」
「あ、もしかして、柑士兄さんのことですか?」
そう言って、椎野さんが食堂のトレーをもってやって来た。
「ここいいですか?」
「もちろん」
私が言うと、和美は微妙な顔をする。
私は和美に、「大丈夫だから」と口パクした。
実際、椎野さんを見ても、もう前みたいに苦しく思うことはなくなっていた。
ほとんど気にしてもいない私を見て、和美もしぶしぶ頷く。