待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~
「この前、チラッと言ってたでしょ? 柑士さん、好きなのかなって。オレンジブリオッシュ、私も大好きなんです」
そう笑うと、柑士さんは顔を綻ばせた。
その顔を見てやけに嬉しくなる。
すぐにスーツからラフな服装に着替えた柑士さんは、ソファでそれを手に取り、口に入れた。
私は久しぶりに作った緊張感から、彼の顔をドキドキして見ていた。
ふわ、と柑士さんの顔が優しく緩む。
それを見て、私も思わず笑った。
「うまいな」
「嬉しい。もうひとつ、食べます?」
そう言いながら、焼き上げたばかりのパンをソファーの前のローテーブルの上に置く。
彼はもう一つ食べると、また顔を綻ばせた。
(やっぱり好きなんだ。作ってよかった)