待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~

 シャワーを浴びてぼんやりしていたら、昨日の夜の疲れからか、少し眠っていたようだ。
 気づいたら夜になっていて、玄関の方で扉の開く音にびくりとする。

 慌てて玄関先まで走って彼を出迎えた。

「おかえりなさい」
「ただいま」

 彼は私を一瞥すると、顎の下に手を添えて自分の方を向かせる。

(帰ってきてすぐキス?)

 驚いて、でも、どうしていいのかわからずに固まっていると、彼は不機嫌そうに眉を寄せた。

「か、柑士さん?」

 つつ、と頬を人差し指で撫でられると、身体が跳ねた。

「誰を想って泣いた?」

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