待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~
そう思って柑士さんを見ると、彼は私の頭をくしゃりと撫でた。
「俺は大学入学以降ニューヨークに住んでて、ひよりとは会うことも話すこともなかった。正直、ほとんど忘れてた。それはすまない」
「私も知らなかったくらいだし、当たり前ですよ」
「でも、あの日さ。日本に戻ってきた日だ。靴をぶつけられた。その相手がひよりだって顔見てすぐわかって驚いた」
あの靴をぶつけてしまった日――。
柑士さんは、NYから帰ってきた日だったんだ。