待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~

 柑士さんがそんなふうに思っていたことが嬉しくてたまらなかった。
 彼は続ける。

「そう思ったら、俺は一瞬でひよりを好きになってたよ。それからは嵌るしかなかった。誰もお前に触れさせたくないって思ったし、実際、本当の意味で覚悟ができてないだろうってわかってても、ひよりを抱いてしまった」

「あのとき、覚悟が決まってないってわかってたの?」
「あぁ。待つって言ったくせに大人げないよな。でも、そうまでして手に入れたかった」

 柑士さんは私を抱きしめた。強く強く。

「『柑士は孤独を知ってる。だからこそ、気に入ったものは大事にしそうだから』って、重蔵さんの予言じゃなくて催眠術だったりしてな」
「さ、催眠術って」

 くすくすと耳もとで笑う声がくすぐったい。
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