待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~

「はじまりはひよりに一瞬で落ちた俺のわがままだ。でも、俺はひよりがちゃんと好きだ。愛してる。もう絶対に手放したくなんかないんだ」

 そう言ってそっと肩を持ち、少し離される。
 そして彼は真剣な目で私を見つめた。

「ひより、俺と結婚してくれないか?」

 その言葉に、ぎゅう、とまた彼に心を掴まれたことが分かった。

 気がついたら目頭が熱くなって、ぼろ、と涙が流れると止まらない。

 柑士さんは少し慌てたけど、私は泣きながら口を開く。

「嬉しい」
「……え?」

「嬉しい! 私も柑士さんが好きだから!」

 それはやっと、言葉にして伝えられた自分の思いだった。

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