ビデオの中の白昼夢
懐かしい夢を見た。警察学校時代の、なんとない夢だ。
あの日はなぜか、萩原がビデオカメラを片手に持っていて、班の様子を撮っていた。なんやかんやあって、結局いつものパターンで罰掃除になったのだけれど。
「なんでこんな夢…」
この間の事件で、写真を見たせいだろうか。なんだか妙に、彼らと会いたい。
****
その日は警視庁に来る予定があった。一緒に来たのはコナンくんだ。昨日、たまたま二人でいるときにたまたまひったくりを捕まえたので、その聴取という名目だった。
僕も彼も慣れたもので、聴取はあっという間に終わり、帰ろうとした矢先だ。両手で大きな段ボールを抱えている顔見知りの刑事に出会ったのは。
「…捜査一課の面々が揃って、そんなに荷物抱えてどうしたの…?なにかの事件の資料?」
「ああ、コナンくん。これは資料じゃなくて、警察学校の寮の掃除で出たものだよ」
コナンくんの疑問に答えたのは、もう担当とでも言うような高木刑事だった。
なんでも、大きな事件を片付けた後なのでちょっとでも休め、という名目で捜査一課の目暮班が振られた仕事は、警察学校の寮を片付けて出てきた物の仕分けと処分らしい。
休みといえば休みとも取れるが、そこそこ面倒な仕事だろう。今日の夢を思い出して、妙に懐かしく感じる。
「へぇ…ねぇねぇ、僕も手伝っていい?」
「えっ。まぁ重要な資料とかじゃないし別に構わないと思うけど…警部に確認してからね」
なんだかんだでいつの間にか手伝うことになっていたが、今日は他に予定もないし僕も二つ返事でOKと答えるのだった。
****
いるものといらないもの、返却できそうなものとそうでないものを分けて、最後に残ったのはビデオカメラが一台。ハンディタイプのよく見るものだ。
「さすがに名前は書いてないわね…」
「再生してみたらいいんじゃないですか?映ってる人に聞けばいいでしょうし」
うーん、と唸ってそう告げる佐藤刑事に、高木刑事がそう返す。
用意がいいのか悪いのか、千葉刑事と白鳥警部がPCとプロジェクターを用意して繋ぎ始めていた。
「何年も前のだろう?映るのか?」
「見た感じ壊れていなさそうですし、電源さえ入れば一番新しい映像くらいはいけるんじゃないでしょうか」
目暮警部の疑問に答えつつ、繋がれるビデオカメラをもう一度見る。なんとなく見覚えのあるハンディカメラ。いや、だがあれは有名メーカーのよくあるものだし、見覚えがあってもおかしくはない。けれど、どこかひっかかる。
「安室さん、どうしたの?」
「え、ああ…なんとなくあれに見覚えがあって…」
「見覚え…あれって結構宣伝されてたやつだし、売ってる時に売り場で見たとか宣伝で見たとかじゃないの?」
「だと思うんだけど」
PCからの充電は上手く行ったらしく、プロジェクターに映像が映る。
そこに映ったのは―――
『何持ってんだ、萩』
『んー、ビデオだよー』
『んなもんスマホで撮ればいいだろーが』
『なぁに言ってんの。たまにはこういうので撮るのがいいんでしょうが』
『そういうもんかね』
まだ、初々しい、警察学校時代の松田だった。話しているのは萩原だろうか。
「松田くん!?」
「で、ですね…僕らが知っているよりは若いですけど」
「もうひとりは松田くんの幼馴染だっていう萩原さんかしら」
佐藤刑事と白鳥警部が声を上げて、二人を確認する。と、言っても萩原は映っていないけれど。
そうこうするうちに二人は何やら話しながら動き出す。そして、ある部屋の前でばったりとある人物と出会う。
『お前ら何してんだ…そんなもん持って』
伊達班長だった。もうここまで来るとさすがにわかる。なんの因果か、これは今朝見た夢じゃなかっただろうか。いや、もしかしてまた夢でも見ているのか?
「今度は伊達さん!?」
声を上げたのは高木刑事だ。そういえば班長が教育係だったんだったか。
いや、そんなことよりも、さっさとこれを止めないと大変なことになる。けれどどう言って止めればいいのかが思いつかない。
それよりも、これは本当に現実かどうかも怪しくなってきた。しばらく徹夜はしていないのだけれど。なんだ。白昼夢でも見ているのだろうか。
僕が迷っているうちに画面の中の彼らは部屋のドアノブに手をかける。見覚えのある、警察学校の寮の扉。
ガチャリと開けて、そのまま揃って中に入っていくと―――
僕がいた。
というか、部屋の机の前に揃って座っていた、景の肩口に身を預けて寝ていた。
(………)
つい、目を見開く。そういえば、最終的に罰掃除までなった理由は何だったか。
そんな考えを巡らせていると、他の面々の視線が一瞬だけ僕に刺さった気がする。そりゃそうだろう。
もう止めてもどうしようもないところまで来てしまっているし、こうなったらいっそ最後まで見るか。
と、思ったところで、くい、と袖を引っ張られた。コナンくんだ。
「ねぇ!?これ再生したままでいいの!?」
小声で慌てて聞いてくる彼に、小さくもうどうしようもないかなぁと答えると、案の定ええーという顔をされた。気持ちはわかるが。
『って、零、寝てるのか?』
『ああ、気がついたらこっくりと。で、動けなくなった』
『んなもん、無理やり起こしちまえばいいだろーが…お前は相変わらず零に弱いな』
『そうか?』
景の声が聞こえる。そして、部屋に入る時にでも受け取ったのか、カメラを持った松田が、僕を覗き込むようにしてそんなことを言う。僕の顔がドアップなんだけど。
『つーかマジで童顔だなこいつ』
あ、思い出した。これにキレたんだ。しかも、撮影中ってことに気が付いて、松田からそのビデオカメラをひったくって映像を消そうとしたような気がする。
隣にいるコナンくんから、なんとなく、確かに今と見た目かわらないな…とでもいうような視線が流れてくる。そんな目で見られても変わらなかったんだから仕方がない。
「…ねぇ安室さん」
「なんだいコナンくん」
「これこの後どうなるの」
「…すごいあきれ気味に聞いてくるね、君……」
降谷、と言わずに安室と言ったのはまだきちんと僕が話していないからか。
「確か…」
いつの間にか画面の中では、僕が起きて松田を追いかけていた。
「この後、全員にカメラが回って僕に回ったところで、僕が教官にぶつかって罰掃除…だったかな」
「……マジで?」
「マジで」
擬態がはがれているけどいいのだろうか。というかこれを答えたら目暮班からもあきれた視線が来ているのだけれど気のせいだろうか。本当なのだから仕方がない。
『萩、パス!』
『え、お、おう!』
松田から萩原へ、そしてその萩原から班長へ。
『よっしゃ、班長!』
『は!?俺は関係ないんだが!?』
とか言いながらビデオをキャッチしてそのまま逡巡してから景へ。
『諸伏!』
『えっ、俺も!?』
ほとんど隣にいた景に班長が渡すと、そのまま僕の声が聞こえる。
『景、こっちだ!』
『もう!仕方ないな…!行くぞ、零!』
そして、僕が受け取った声が聞こえる。というか、一連の動作は映しているカメラがくるくると回っているため、誰かの手のひらや天井やら床やらしか映っていない。途中で楽しそうになった声だけが聞こえてくる。
そういえば、途中からただあいつらとはしゃいでいることが楽しくなっただけだった気がする。というか、本当にこいつら怒られることしかしてないな…自分も中に入っているのがどうかと思うけど。
「く、はは…」
「え、安室さん?」
「はは、あははははは!」
「安室さんが壊れた!?」
「あはは…壊れてない壊れてない。なんかおかしくなってきちゃって」
思いっきり笑った。懐かしさとか、さみしさとか、その時の楽しさとか、いろんなものを含めた笑いだった。
なんとか息を整えながら、画面の切れたビデオカメラを手に取る。
「目暮警部、これ、僕がいただいても?」
「え、あ、ああ…じゃなくて!」
「安室さんが、フルヤレイさんなの!?」
佐藤刑事のその声で、そういえば、この間の事件で名前だけ一人歩きしていたな、とそこで思い出す。
「ええ、まぁ。…改めて」
懐から警察手帳を取り出して、普段の彼らがそうするように、それを開けて見せる。もちろん、顔写真は僕のものだし、名前も降谷零だ。
「警察庁警備局警備企画課、ゼロ所属、降谷零です」
ぽかんと、顔見知りの刑事たちが唖然としたように僕を見る。まぁ、それはそうか…というか、ほとんどの人たちより、僕の方が、階級が上と言うことに驚いているのだろうか。
「あ、といっても、しばらくはまだ安室のままなので、安室として接していただけると。…これが公になると、大変なことになるので」
「…わ、わかった…」
安室の声よりワントーン低く話したからか、目暮警部が少し体を下がらせる。やりすぎただろうか。
「と、というか…コナンくんは知っていたのかい?」
「普通に話してましたもんね…」
高木、千葉両刑事に問われて、小さな名探偵はにっこりとほほ笑み返す。彼らはそれが肯定と取ったようだった。
「ああ、彼は公安としての僕の協力者と言ったところですよ。まぁ、たまに無茶をするので危なっかしいですが…」
「…それ、安室さんに言われたくないよ」
「え、お互い様だろう?」
どうやらご立腹をさせてしまったようで、コナンくんはむすりと頬を膨らませた。こうしていると普通の子どもなんだけどなぁ。
「…まぁ、そういうわけで…ここでの出来事は、他言無用と言うことで」
そうして、懐かしい出来事を思い出したとんでもない出来事は、幕を閉じるのだ。
(で、安室さん。この後何があったの?)(え、だから罰掃除を…)
(その時普通に終わったの?)(……僕と松田が喧嘩し始めたような記憶があるようなないような)
―――了
あの日はなぜか、萩原がビデオカメラを片手に持っていて、班の様子を撮っていた。なんやかんやあって、結局いつものパターンで罰掃除になったのだけれど。
「なんでこんな夢…」
この間の事件で、写真を見たせいだろうか。なんだか妙に、彼らと会いたい。
****
その日は警視庁に来る予定があった。一緒に来たのはコナンくんだ。昨日、たまたま二人でいるときにたまたまひったくりを捕まえたので、その聴取という名目だった。
僕も彼も慣れたもので、聴取はあっという間に終わり、帰ろうとした矢先だ。両手で大きな段ボールを抱えている顔見知りの刑事に出会ったのは。
「…捜査一課の面々が揃って、そんなに荷物抱えてどうしたの…?なにかの事件の資料?」
「ああ、コナンくん。これは資料じゃなくて、警察学校の寮の掃除で出たものだよ」
コナンくんの疑問に答えたのは、もう担当とでも言うような高木刑事だった。
なんでも、大きな事件を片付けた後なのでちょっとでも休め、という名目で捜査一課の目暮班が振られた仕事は、警察学校の寮を片付けて出てきた物の仕分けと処分らしい。
休みといえば休みとも取れるが、そこそこ面倒な仕事だろう。今日の夢を思い出して、妙に懐かしく感じる。
「へぇ…ねぇねぇ、僕も手伝っていい?」
「えっ。まぁ重要な資料とかじゃないし別に構わないと思うけど…警部に確認してからね」
なんだかんだでいつの間にか手伝うことになっていたが、今日は他に予定もないし僕も二つ返事でOKと答えるのだった。
****
いるものといらないもの、返却できそうなものとそうでないものを分けて、最後に残ったのはビデオカメラが一台。ハンディタイプのよく見るものだ。
「さすがに名前は書いてないわね…」
「再生してみたらいいんじゃないですか?映ってる人に聞けばいいでしょうし」
うーん、と唸ってそう告げる佐藤刑事に、高木刑事がそう返す。
用意がいいのか悪いのか、千葉刑事と白鳥警部がPCとプロジェクターを用意して繋ぎ始めていた。
「何年も前のだろう?映るのか?」
「見た感じ壊れていなさそうですし、電源さえ入れば一番新しい映像くらいはいけるんじゃないでしょうか」
目暮警部の疑問に答えつつ、繋がれるビデオカメラをもう一度見る。なんとなく見覚えのあるハンディカメラ。いや、だがあれは有名メーカーのよくあるものだし、見覚えがあってもおかしくはない。けれど、どこかひっかかる。
「安室さん、どうしたの?」
「え、ああ…なんとなくあれに見覚えがあって…」
「見覚え…あれって結構宣伝されてたやつだし、売ってる時に売り場で見たとか宣伝で見たとかじゃないの?」
「だと思うんだけど」
PCからの充電は上手く行ったらしく、プロジェクターに映像が映る。
そこに映ったのは―――
『何持ってんだ、萩』
『んー、ビデオだよー』
『んなもんスマホで撮ればいいだろーが』
『なぁに言ってんの。たまにはこういうので撮るのがいいんでしょうが』
『そういうもんかね』
まだ、初々しい、警察学校時代の松田だった。話しているのは萩原だろうか。
「松田くん!?」
「で、ですね…僕らが知っているよりは若いですけど」
「もうひとりは松田くんの幼馴染だっていう萩原さんかしら」
佐藤刑事と白鳥警部が声を上げて、二人を確認する。と、言っても萩原は映っていないけれど。
そうこうするうちに二人は何やら話しながら動き出す。そして、ある部屋の前でばったりとある人物と出会う。
『お前ら何してんだ…そんなもん持って』
伊達班長だった。もうここまで来るとさすがにわかる。なんの因果か、これは今朝見た夢じゃなかっただろうか。いや、もしかしてまた夢でも見ているのか?
「今度は伊達さん!?」
声を上げたのは高木刑事だ。そういえば班長が教育係だったんだったか。
いや、そんなことよりも、さっさとこれを止めないと大変なことになる。けれどどう言って止めればいいのかが思いつかない。
それよりも、これは本当に現実かどうかも怪しくなってきた。しばらく徹夜はしていないのだけれど。なんだ。白昼夢でも見ているのだろうか。
僕が迷っているうちに画面の中の彼らは部屋のドアノブに手をかける。見覚えのある、警察学校の寮の扉。
ガチャリと開けて、そのまま揃って中に入っていくと―――
僕がいた。
というか、部屋の机の前に揃って座っていた、景の肩口に身を預けて寝ていた。
(………)
つい、目を見開く。そういえば、最終的に罰掃除までなった理由は何だったか。
そんな考えを巡らせていると、他の面々の視線が一瞬だけ僕に刺さった気がする。そりゃそうだろう。
もう止めてもどうしようもないところまで来てしまっているし、こうなったらいっそ最後まで見るか。
と、思ったところで、くい、と袖を引っ張られた。コナンくんだ。
「ねぇ!?これ再生したままでいいの!?」
小声で慌てて聞いてくる彼に、小さくもうどうしようもないかなぁと答えると、案の定ええーという顔をされた。気持ちはわかるが。
『って、零、寝てるのか?』
『ああ、気がついたらこっくりと。で、動けなくなった』
『んなもん、無理やり起こしちまえばいいだろーが…お前は相変わらず零に弱いな』
『そうか?』
景の声が聞こえる。そして、部屋に入る時にでも受け取ったのか、カメラを持った松田が、僕を覗き込むようにしてそんなことを言う。僕の顔がドアップなんだけど。
『つーかマジで童顔だなこいつ』
あ、思い出した。これにキレたんだ。しかも、撮影中ってことに気が付いて、松田からそのビデオカメラをひったくって映像を消そうとしたような気がする。
隣にいるコナンくんから、なんとなく、確かに今と見た目かわらないな…とでもいうような視線が流れてくる。そんな目で見られても変わらなかったんだから仕方がない。
「…ねぇ安室さん」
「なんだいコナンくん」
「これこの後どうなるの」
「…すごいあきれ気味に聞いてくるね、君……」
降谷、と言わずに安室と言ったのはまだきちんと僕が話していないからか。
「確か…」
いつの間にか画面の中では、僕が起きて松田を追いかけていた。
「この後、全員にカメラが回って僕に回ったところで、僕が教官にぶつかって罰掃除…だったかな」
「……マジで?」
「マジで」
擬態がはがれているけどいいのだろうか。というかこれを答えたら目暮班からもあきれた視線が来ているのだけれど気のせいだろうか。本当なのだから仕方がない。
『萩、パス!』
『え、お、おう!』
松田から萩原へ、そしてその萩原から班長へ。
『よっしゃ、班長!』
『は!?俺は関係ないんだが!?』
とか言いながらビデオをキャッチしてそのまま逡巡してから景へ。
『諸伏!』
『えっ、俺も!?』
ほとんど隣にいた景に班長が渡すと、そのまま僕の声が聞こえる。
『景、こっちだ!』
『もう!仕方ないな…!行くぞ、零!』
そして、僕が受け取った声が聞こえる。というか、一連の動作は映しているカメラがくるくると回っているため、誰かの手のひらや天井やら床やらしか映っていない。途中で楽しそうになった声だけが聞こえてくる。
そういえば、途中からただあいつらとはしゃいでいることが楽しくなっただけだった気がする。というか、本当にこいつら怒られることしかしてないな…自分も中に入っているのがどうかと思うけど。
「く、はは…」
「え、安室さん?」
「はは、あははははは!」
「安室さんが壊れた!?」
「あはは…壊れてない壊れてない。なんかおかしくなってきちゃって」
思いっきり笑った。懐かしさとか、さみしさとか、その時の楽しさとか、いろんなものを含めた笑いだった。
なんとか息を整えながら、画面の切れたビデオカメラを手に取る。
「目暮警部、これ、僕がいただいても?」
「え、あ、ああ…じゃなくて!」
「安室さんが、フルヤレイさんなの!?」
佐藤刑事のその声で、そういえば、この間の事件で名前だけ一人歩きしていたな、とそこで思い出す。
「ええ、まぁ。…改めて」
懐から警察手帳を取り出して、普段の彼らがそうするように、それを開けて見せる。もちろん、顔写真は僕のものだし、名前も降谷零だ。
「警察庁警備局警備企画課、ゼロ所属、降谷零です」
ぽかんと、顔見知りの刑事たちが唖然としたように僕を見る。まぁ、それはそうか…というか、ほとんどの人たちより、僕の方が、階級が上と言うことに驚いているのだろうか。
「あ、といっても、しばらくはまだ安室のままなので、安室として接していただけると。…これが公になると、大変なことになるので」
「…わ、わかった…」
安室の声よりワントーン低く話したからか、目暮警部が少し体を下がらせる。やりすぎただろうか。
「と、というか…コナンくんは知っていたのかい?」
「普通に話してましたもんね…」
高木、千葉両刑事に問われて、小さな名探偵はにっこりとほほ笑み返す。彼らはそれが肯定と取ったようだった。
「ああ、彼は公安としての僕の協力者と言ったところですよ。まぁ、たまに無茶をするので危なっかしいですが…」
「…それ、安室さんに言われたくないよ」
「え、お互い様だろう?」
どうやらご立腹をさせてしまったようで、コナンくんはむすりと頬を膨らませた。こうしていると普通の子どもなんだけどなぁ。
「…まぁ、そういうわけで…ここでの出来事は、他言無用と言うことで」
そうして、懐かしい出来事を思い出したとんでもない出来事は、幕を閉じるのだ。
(で、安室さん。この後何があったの?)(え、だから罰掃除を…)
(その時普通に終わったの?)(……僕と松田が喧嘩し始めたような記憶があるようなないような)
―――了