初恋を拗らせたワンコ彼氏が執着してきます
出張前夜、つまらないことで彼女と言い争ってしまった。
切っ掛けは奥村愛奈だ。
以前一度彼女と社内のカフェで話をしたことがあった。立ち話程度だ。
透が桜田フーズの社長の養子だとを知っていると彼女に匂わされたからだ。
恐らく父親の専務が漏らしたのだろう。愛奈にはその時にしっかり口止めをした。
あの日は“口止めされたこと”で相談したいと再び匂わさせ、仕方なく同じくカフェに行こうと思ったのだが、勘違いなのか意図的なのか、愛奈に経理の居室まで誘導されてしまった。
そこで見たのは、打ち合わせコーナーで仲良さげに並び、島津の肩をやさしく叩く唯花の姿だった。
ふたりの距離の近さに嫉妬で頭がおかしくなるかと思った。隣で愛奈が世迷言を言っている事も頭に入ってこなかった。
冷静な判断ができずに唯花を強引に非常階段に連れこんで責めたててしまった。
(彼女はただ仕事を一生懸命しているだけなのに)
怒った唯花に『自分たちはお似合いじゃない』と突き離されたときは目の前真っ暗になった。
彼女に相応しい男になろうと努力してきたことも、手に入れるための思惑もどうでもよくなった。
ただ彼女を逃がしたくない――昏い衝動で透は彼女の唇を奪っていた。
切っ掛けは奥村愛奈だ。
以前一度彼女と社内のカフェで話をしたことがあった。立ち話程度だ。
透が桜田フーズの社長の養子だとを知っていると彼女に匂わされたからだ。
恐らく父親の専務が漏らしたのだろう。愛奈にはその時にしっかり口止めをした。
あの日は“口止めされたこと”で相談したいと再び匂わさせ、仕方なく同じくカフェに行こうと思ったのだが、勘違いなのか意図的なのか、愛奈に経理の居室まで誘導されてしまった。
そこで見たのは、打ち合わせコーナーで仲良さげに並び、島津の肩をやさしく叩く唯花の姿だった。
ふたりの距離の近さに嫉妬で頭がおかしくなるかと思った。隣で愛奈が世迷言を言っている事も頭に入ってこなかった。
冷静な判断ができずに唯花を強引に非常階段に連れこんで責めたててしまった。
(彼女はただ仕事を一生懸命しているだけなのに)
怒った唯花に『自分たちはお似合いじゃない』と突き離されたときは目の前真っ暗になった。
彼女に相応しい男になろうと努力してきたことも、手に入れるための思惑もどうでもよくなった。
ただ彼女を逃がしたくない――昏い衝動で透は彼女の唇を奪っていた。