初恋を拗らせたワンコ彼氏が執着してきます
 透の行動の全ての原動力は唯花に相応しい男になること。

 いつか気持ちが冷める時もくるかもしれない。それならそれでいいと客観的に思っていたが、彼女への想いは冷めるどころか煮詰まるばかりだった。
 自分は惚れると相当執着する性格らしい。

 唯花の情報は義父を通じて入手していた。コンプライアンス的にどうかということはこの際考えない。
 彼女は彼女らしくずっと真面目に働き続けているのを知って嬉しかった。

 再会した時は綺麗になっている実物の彼女に眩暈がしそうだった。
 結婚していないのは透にとって僥倖だった。恋人くらいなら何とか奪ってやるくらいのつもりでいたのだ。

 押しに押し、半ば脅すようにして唯花の恋人になった。彼女は引き気味だったが透は幸せだった。

 唯花は真面目さと大人の落ち着きを持ちながら、お人好しでかわいい人だ。
 透が用意した食事を美味しいと褒められるともっと料理の腕を上げたくなるし、流行りのスイーツを前にするとわかりやすく顔を綻ばすから、いくらでも買ってきてあげたくなる。

 ベッドで乱れながらかわいく縋られると、自分が彼女に好かれていると安心できる。
 そしてもっと溺れてくれという欲望が止まらなくなる。
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