初恋を拗らせたワンコ彼氏が執着してきます
勧められるまま透の隣の椅子に腰かけるが、内心ガクブルだ。
「これで全員揃ったようだね」
桜田社長はゆったりと座り直すと集まった面々に鷹揚に話しだす。
「今日視察に来たらいろんな人に『ご子息のご婚約おめでとうございます』って言われてね。息子の素性は役員以外知らない極秘情報で箝口令を敷いていたのに、いつのまにかこちらの社内中で噂になっているようだ」
(……やっぱり折原君が社長の養子だというのは本当なのね)
唯花が俯きながら話に耳を傾けていると透が口を開いた。
「社長、僕は、社長の養子であることを誰にも話をしていません。それと奥村さんとの婚約は全くの嘘です」
正直、とても困っていますというはっきりとした口調に唯花は思わず顔を上げた。
(婚約の話は嘘?)
「だとすると誰かが情報漏洩し、嘘の噂を流しているということになる。社内コンプライアンス的に由々しき事態だ。調査する必要があるね。徹底的に」
桜田社長の強い口調に奥村専務と愛奈が顔色を変えて慌てだした。
「社長、も、申し訳ありません! ご子息の件、実は私がつい娘に漏らしまして、娘が勝手にそれを……」
「パパ!なに言ってるの、社長の養子がこっちに出向するからモノにしろって言ったのパパじゃない!」
「だからってこんな噂を流せとは言っていない!」
「これで全員揃ったようだね」
桜田社長はゆったりと座り直すと集まった面々に鷹揚に話しだす。
「今日視察に来たらいろんな人に『ご子息のご婚約おめでとうございます』って言われてね。息子の素性は役員以外知らない極秘情報で箝口令を敷いていたのに、いつのまにかこちらの社内中で噂になっているようだ」
(……やっぱり折原君が社長の養子だというのは本当なのね)
唯花が俯きながら話に耳を傾けていると透が口を開いた。
「社長、僕は、社長の養子であることを誰にも話をしていません。それと奥村さんとの婚約は全くの嘘です」
正直、とても困っていますというはっきりとした口調に唯花は思わず顔を上げた。
(婚約の話は嘘?)
「だとすると誰かが情報漏洩し、嘘の噂を流しているということになる。社内コンプライアンス的に由々しき事態だ。調査する必要があるね。徹底的に」
桜田社長の強い口調に奥村専務と愛奈が顔色を変えて慌てだした。
「社長、も、申し訳ありません! ご子息の件、実は私がつい娘に漏らしまして、娘が勝手にそれを……」
「パパ!なに言ってるの、社長の養子がこっちに出向するからモノにしろって言ったのパパじゃない!」
「だからってこんな噂を流せとは言っていない!」