初恋を拗らせたワンコ彼氏が執着してきます
桜田社長は笑顔のまま年上の男性達を完全に制御している。
(折原君のお義父さん、社長だってことを差し引いても、絶対敵にまわしちゃダメなタイプの人だ)
肩を落としながら役員会議室を出て行く愛奈と奥村専務、新見社長の後ろ姿を見送りながら唯花は思った。
嵐が去った会議室内には透と唯花、そして桜田社長が残る。
まだ緊張が解けない唯花に桜田社長はくだけた様子で話しかけてきた。
「茶番に付き合わせてすまなかったね。本当は全部事情はわかってたんだけど、これを機に奥村専務に退場してもらおうと思って。彼、先代が専務にしたけど能力がないのに権力だけを振りかざすって社内でも評判が悪かったら」
「そうだったんですね、でも……なぜ私が?」
奥村専務を糾弾する目的なら自分をここに呼ぶ必要はなかった。
「本当の目的は恋の後押しだからね」
桜田社長の声が急に弾む。
「恋の?」
「社長……もういいです。俺が説明します」
溜息交じりに透が口を挟んできた。
「噂のこと聞いて予定を半日繰り上げて慌てて帰ってきたんだ。それで、言葉より目の前で見てもらった方があなたにわかってもらえると思ってこうして社長に来てもらった」
(折原君のお義父さん、社長だってことを差し引いても、絶対敵にまわしちゃダメなタイプの人だ)
肩を落としながら役員会議室を出て行く愛奈と奥村専務、新見社長の後ろ姿を見送りながら唯花は思った。
嵐が去った会議室内には透と唯花、そして桜田社長が残る。
まだ緊張が解けない唯花に桜田社長はくだけた様子で話しかけてきた。
「茶番に付き合わせてすまなかったね。本当は全部事情はわかってたんだけど、これを機に奥村専務に退場してもらおうと思って。彼、先代が専務にしたけど能力がないのに権力だけを振りかざすって社内でも評判が悪かったら」
「そうだったんですね、でも……なぜ私が?」
奥村専務を糾弾する目的なら自分をここに呼ぶ必要はなかった。
「本当の目的は恋の後押しだからね」
桜田社長の声が急に弾む。
「恋の?」
「社長……もういいです。俺が説明します」
溜息交じりに透が口を挟んできた。
「噂のこと聞いて予定を半日繰り上げて慌てて帰ってきたんだ。それで、言葉より目の前で見てもらった方があなたにわかってもらえると思ってこうして社長に来てもらった」