怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
§1.儚く散った片思い
***
季節は六月。梅雨入りしたので最近毎日のように雨だ。
湿度が高く、部屋の中がジメジメするので、ずっと除湿器を稼働させている。
だけど今日は私の休みに合わせたかのように梅雨も中休みらしく、空には久しぶりに太陽が出ている。
一階に降りてきて庭に続く窓を開ければ、赤紫色のあじさいが真っ先に目に飛び込んできた。
「あじさいが今年も綺麗ね。久米さんがきちんと手入れをしてくれているおかげ」
腰をかがめて落ち葉を拾い集めていた久米鈴子さんに声をかければ、彼女はいつものようにやわらかな笑みをたたえてこちらに近づいてきた。
彼女は我が家で家政婦として働いてくれている人だ。
「冬璃さん、そのまま外に出たら紫外線を浴びてしまいます!」
「あ、そうだよね。でも久米さんは?」
「私は日焼け止めを塗っていますし、この年だから少々シミが出来てももういいんですよ」
彼女の返答に、私は「よくないでしょ~」と明るく突っ込みながら笑みをこぼした。
この家は祖父が建てたのだが、家の中も庭も広い。
部屋の掃除だけでも大変なところを、久米さんが庭まできっちり手入れしてくれるおかげで荒れ放題にならずに済んでいる。
季節は六月。梅雨入りしたので最近毎日のように雨だ。
湿度が高く、部屋の中がジメジメするので、ずっと除湿器を稼働させている。
だけど今日は私の休みに合わせたかのように梅雨も中休みらしく、空には久しぶりに太陽が出ている。
一階に降りてきて庭に続く窓を開ければ、赤紫色のあじさいが真っ先に目に飛び込んできた。
「あじさいが今年も綺麗ね。久米さんがきちんと手入れをしてくれているおかげ」
腰をかがめて落ち葉を拾い集めていた久米鈴子さんに声をかければ、彼女はいつものようにやわらかな笑みをたたえてこちらに近づいてきた。
彼女は我が家で家政婦として働いてくれている人だ。
「冬璃さん、そのまま外に出たら紫外線を浴びてしまいます!」
「あ、そうだよね。でも久米さんは?」
「私は日焼け止めを塗っていますし、この年だから少々シミが出来てももういいんですよ」
彼女の返答に、私は「よくないでしょ~」と明るく突っ込みながら笑みをこぼした。
この家は祖父が建てたのだが、家の中も庭も広い。
部屋の掃除だけでも大変なところを、久米さんが庭まできっちり手入れしてくれるおかげで荒れ放題にならずに済んでいる。
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