怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
「もしもし。安西さん、どうされました?」
急用ならば仕方がないけれど、そうでないならメールをしておいてもらおう。
そう考えながら電話を取ったのだが、安西さんから聞かれたのは父についてだった。
「すみません、佳洋社長が今どちらにいらっしゃるか聞きたくて……」
「父の居どころですか?」
「はい。連絡がつかないもので」
私はスマホを耳に当てたまま、あきれて小さくうなだれた。
何度も電話をかけたけれど父が出ないので、安西さんは困って私にかけてきたのだろう。
「神戸に出張だと言ってましたし、まだそっちに滞在してるんじゃないでしょうか。申し訳ないのですが、父は私にそういう連絡はしないのでわからないんです」
私たちが連絡を密に取り合わないのは以前にも安西さんには話してある。
一緒に住んでいるのになんとも希薄な関係だと思われているに違いない。
変な親子なのは、自分でも重々承知している。
「ですよね。秘書の沢田さんも佳洋社長と連絡がつかなくて困ってるみたいなんです」
「え、そうなんですか……」
急用ならば仕方がないけれど、そうでないならメールをしておいてもらおう。
そう考えながら電話を取ったのだが、安西さんから聞かれたのは父についてだった。
「すみません、佳洋社長が今どちらにいらっしゃるか聞きたくて……」
「父の居どころですか?」
「はい。連絡がつかないもので」
私はスマホを耳に当てたまま、あきれて小さくうなだれた。
何度も電話をかけたけれど父が出ないので、安西さんは困って私にかけてきたのだろう。
「神戸に出張だと言ってましたし、まだそっちに滞在してるんじゃないでしょうか。申し訳ないのですが、父は私にそういう連絡はしないのでわからないんです」
私たちが連絡を密に取り合わないのは以前にも安西さんには話してある。
一緒に住んでいるのになんとも希薄な関係だと思われているに違いない。
変な親子なのは、自分でも重々承知している。
「ですよね。秘書の沢田さんも佳洋社長と連絡がつかなくて困ってるみたいなんです」
「え、そうなんですか……」