怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
彼はこのまま連絡を絶つつもりなのかもしれない。
あんな報道が出たのだし、あきらめなきゃいけないと頭ではわかりつつも、心が納得しないから涙が出る。
デートに行けないなら連絡がほしかった。
いや、その前に、恋人がいるなら出会ったときにそう言ってほしかった。
そしたらこんなにも彼を好きになることはなかっただろう。
うぅ、と下を向いてうなだれていたら、スマホが着信を告げて体がビクッと震えた。
「もしもし!」
待っていたと言わんばかりに、すぐに電話に出てしまった私は、なんて愚かなのか。
もう二度と話せないかもしれなかった彼から連絡が来て、ほんの少しだけうれしいと思う自分がいた。
『冬璃さん、昨日は行けなくてごめん』
「記者会見を見ました。いったいどうなってるんですか?」
『あれはあのままだよ。週刊誌に婚約の件を嗅ぎつけられてね。記事になる前に自分から発表したいって彼女が言うもんだから、急遽会見を開いたんだ』
淡々と事情を話す憲一朗さんの声音はいつもと変わらなかった。
あわてる様子も、私に対する罪悪感も感じられない。
本当に彼は自分の話をしているのだろうかと疑いたくなるくらい冷静だ。
あんな報道が出たのだし、あきらめなきゃいけないと頭ではわかりつつも、心が納得しないから涙が出る。
デートに行けないなら連絡がほしかった。
いや、その前に、恋人がいるなら出会ったときにそう言ってほしかった。
そしたらこんなにも彼を好きになることはなかっただろう。
うぅ、と下を向いてうなだれていたら、スマホが着信を告げて体がビクッと震えた。
「もしもし!」
待っていたと言わんばかりに、すぐに電話に出てしまった私は、なんて愚かなのか。
もう二度と話せないかもしれなかった彼から連絡が来て、ほんの少しだけうれしいと思う自分がいた。
『冬璃さん、昨日は行けなくてごめん』
「記者会見を見ました。いったいどうなってるんですか?」
『あれはあのままだよ。週刊誌に婚約の件を嗅ぎつけられてね。記事になる前に自分から発表したいって彼女が言うもんだから、急遽会見を開いたんだ』
淡々と事情を話す憲一朗さんの声音はいつもと変わらなかった。
あわてる様子も、私に対する罪悪感も感じられない。
本当に彼は自分の話をしているのだろうかと疑いたくなるくらい冷静だ。