怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
「この度はご迷惑をおかけして申し訳ありません。急な融資の申し出にも関わらず、父に手を差し伸べてくださると聞きました。感謝いたします」
ちらりと父のほうを一瞬横目で見ながらも、私はそう言って深々と頭を下げた。
「まぁ、それはもう話が済んだから。冬璃さんもかしこまってないで座って。束縒、お前も」
父たちは過酷な条件の融資話を繰り広げていたはずなのに、場の空気がとても和やかで、拍子抜けすると同時に違和感を覚えた。
もっと深刻な顔をするのが普通だと思う。
「なにがどうなってるのかあとで全部話してね」
隣に座って小声で耳打ちをすれば、父は顔をしかめながら小さくうなずいた。
「ところで冬璃、今聞いたんだが、束縒くんとお付き合いしてるんだって?」
親なのに知らなかったから恥をかいたと言わんばかりに、笑いながらわけのわからない発言をする父に、私はポカンとして固まってしまった。
向かい側にいる束縒からコホンという咳払いが聞こえてそちらに視線を移せば、目で合図のようなものを送ってきている。
「ああ……うん。黙っていたけど、実はそうなの」
束縒が口にしていた“盛大なウソ”というのはこれだったのかと、すぐさま理解した。
なぜこんなウソをついたのかはわからないが、もちろんなにか理由があるはずなので、ここは話を適当に合わせておく。
ちらりと父のほうを一瞬横目で見ながらも、私はそう言って深々と頭を下げた。
「まぁ、それはもう話が済んだから。冬璃さんもかしこまってないで座って。束縒、お前も」
父たちは過酷な条件の融資話を繰り広げていたはずなのに、場の空気がとても和やかで、拍子抜けすると同時に違和感を覚えた。
もっと深刻な顔をするのが普通だと思う。
「なにがどうなってるのかあとで全部話してね」
隣に座って小声で耳打ちをすれば、父は顔をしかめながら小さくうなずいた。
「ところで冬璃、今聞いたんだが、束縒くんとお付き合いしてるんだって?」
親なのに知らなかったから恥をかいたと言わんばかりに、笑いながらわけのわからない発言をする父に、私はポカンとして固まってしまった。
向かい側にいる束縒からコホンという咳払いが聞こえてそちらに視線を移せば、目で合図のようなものを送ってきている。
「ああ……うん。黙っていたけど、実はそうなの」
束縒が口にしていた“盛大なウソ”というのはこれだったのかと、すぐさま理解した。
なぜこんなウソをついたのかはわからないが、もちろんなにか理由があるはずなので、ここは話を適当に合わせておく。