怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
私に視線を移した会長は、バツ悪そうにしながら腕を組んで笑っていた。
いったいどうなっているのだろう。
今の流れだと、私と束縒が結婚する方向に話が進んでいるように聞こえたけれど。
「冬璃さんを驚かせたようだ。すまない」
「い、いえ……」
返事をしつつ、束縒に問うような視線を向ければ、彼もこれは想定外なのか少々あわてているように見えた。
「うちは今年は喪中ですし、結婚は来年以降でいいですよ」
「先に籍を入れなさい。式と披露宴は来年に。そのときは盛大にお披露目だ」
「いや、でも……」
束縒は途中で口ごもり、蛇に睨まれた蛙のように固まってしまった。
彼が言ったとおり、束縒の母方のお祖母さまが亡くなられたのは今年の初めだったはずだから、年が明けるまでは葛城家は喪中だ。
詳しい事情は不明だが、彼が会長の考えを覆して、自分が描いた筋書きのほうへもっていこうとしているのはわかった。
「冬璃、もちろん父さんもふたりの結婚には賛成だ。葛城家のご意向に沿って準備を進めなさい」
これは……完全に外堀を埋められている。
私の父は立場上、会長側についている模様だが、お願いだから今は静かにしていてもらいたい。
いったいどうなっているのだろう。
今の流れだと、私と束縒が結婚する方向に話が進んでいるように聞こえたけれど。
「冬璃さんを驚かせたようだ。すまない」
「い、いえ……」
返事をしつつ、束縒に問うような視線を向ければ、彼もこれは想定外なのか少々あわてているように見えた。
「うちは今年は喪中ですし、結婚は来年以降でいいですよ」
「先に籍を入れなさい。式と披露宴は来年に。そのときは盛大にお披露目だ」
「いや、でも……」
束縒は途中で口ごもり、蛇に睨まれた蛙のように固まってしまった。
彼が言ったとおり、束縒の母方のお祖母さまが亡くなられたのは今年の初めだったはずだから、年が明けるまでは葛城家は喪中だ。
詳しい事情は不明だが、彼が会長の考えを覆して、自分が描いた筋書きのほうへもっていこうとしているのはわかった。
「冬璃、もちろん父さんもふたりの結婚には賛成だ。葛城家のご意向に沿って準備を進めなさい」
これは……完全に外堀を埋められている。
私の父は立場上、会長側についている模様だが、お願いだから今は静かにしていてもらいたい。