怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
「すみません、少しだけ彼女とふたりで話をさせてください」
束縒は無表情でそう言って、いきなりスクッと立ち上がった。
「そうだな。冬璃さんもいきなりでビックリしてるだろうからな」
会長からの言葉を受け取った束縒は、私に部屋の出入口を指し示した。
とりあえずふたりとも無言で会長室を出る。
「あの、私……実は父から全然状況を聞けていないの。説明してくれないから……」
束縒がキョロキョロと辺りを見回して、ほかに誰もいないか確認をした。
ここは最上階の会長室前なので通行する人間はいないはずだが、念のためだろう。
「どこまで把握してる?」
「財務を担当してた工藤さんが横領して逃亡中で、支払い期日が迫ってるってところまで」
通路の隅に移動し、私たちは立ち話を始める。
眉間にシワを寄せる彼の表情を見る限り、私が来る前と後で状況が変わったのかもしれないと不安になった。
「工藤と懇意にしている会社があって、登記上の住所が神戸だったから佳洋さんはそこに向かったらしい。行ってみたら事務所はもぬけの殻だったそうだ。グルだったんだろうな。ヤツらはもう日本にはいない」
「それで、奪われたお金は?」
「すでにロンダリングされてるかも。ま、そっちは警察に任せるとして、問題は支払い期日のほうだ」
束縒は無表情でそう言って、いきなりスクッと立ち上がった。
「そうだな。冬璃さんもいきなりでビックリしてるだろうからな」
会長からの言葉を受け取った束縒は、私に部屋の出入口を指し示した。
とりあえずふたりとも無言で会長室を出る。
「あの、私……実は父から全然状況を聞けていないの。説明してくれないから……」
束縒がキョロキョロと辺りを見回して、ほかに誰もいないか確認をした。
ここは最上階の会長室前なので通行する人間はいないはずだが、念のためだろう。
「どこまで把握してる?」
「財務を担当してた工藤さんが横領して逃亡中で、支払い期日が迫ってるってところまで」
通路の隅に移動し、私たちは立ち話を始める。
眉間にシワを寄せる彼の表情を見る限り、私が来る前と後で状況が変わったのかもしれないと不安になった。
「工藤と懇意にしている会社があって、登記上の住所が神戸だったから佳洋さんはそこに向かったらしい。行ってみたら事務所はもぬけの殻だったそうだ。グルだったんだろうな。ヤツらはもう日本にはいない」
「それで、奪われたお金は?」
「すでにロンダリングされてるかも。ま、そっちは警察に任せるとして、問題は支払い期日のほうだ」