怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
「ザックリと言えば、今のが冬璃が来る前に三人で話してた内容だ。そのあと俺は部屋を出て冬璃を待ってた。で、戻ったらあのとおりだ。俺のいないあいだにふたりでなにを話してたんだか」
「すぐに入籍するように急かしてたよね」
「あのタヌキ親父……」
奥歯をギュッと噛みしめるようにして束縒が顔をしかめる。
無理に融資を受けようとしたせいで彼がウソまでついてくれたから、話がややこしくなったのだ。
今さらだけれど、本当のことを言って謝ったほうがいいのかもしれない。
そうなると、振りだしに戻って新たな融資先を早急に探さなければならなくなる。
「冬璃はうちの親父をどう思う?」
「え……会長は貫禄のある人だけど、いつも私にはやさしい」
「そうか。でもそれは表面の一部分でしかない。ビジネスに関してはシビアで、恐ろしい部分も持っている」
父親に対して、束縒はいつからそんなふうに思っていたのか。
葛城リゾートで働きだして、サンセリテホテルを任されてからだろうか。
一緒に働いてみて初めて知った会長としての顔もあったのかもしれない。
会長に冷淡な部分もあったからこそ、葛城グループがこれほど大きな成功を収めてきたとも言える。
「すぐに入籍するように急かしてたよね」
「あのタヌキ親父……」
奥歯をギュッと噛みしめるようにして束縒が顔をしかめる。
無理に融資を受けようとしたせいで彼がウソまでついてくれたから、話がややこしくなったのだ。
今さらだけれど、本当のことを言って謝ったほうがいいのかもしれない。
そうなると、振りだしに戻って新たな融資先を早急に探さなければならなくなる。
「冬璃はうちの親父をどう思う?」
「え……会長は貫禄のある人だけど、いつも私にはやさしい」
「そうか。でもそれは表面の一部分でしかない。ビジネスに関してはシビアで、恐ろしい部分も持っている」
父親に対して、束縒はいつからそんなふうに思っていたのか。
葛城リゾートで働きだして、サンセリテホテルを任されてからだろうか。
一緒に働いてみて初めて知った会長としての顔もあったのかもしれない。
会長に冷淡な部分もあったからこそ、葛城グループがこれほど大きな成功を収めてきたとも言える。