怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
「冬璃、会社を守りたいよな?」
「うん。社長として従業員を守りたいし、責任を持ちたい」
「だったら、結婚しよう」
束縒の提案に、私は一瞬言葉を失った。
彼の当初の策略では、婚約をしたあとか、もしくはその前に、破局したことにする予定だったはずだ。
「本当に婚姻届を出すの?」
「偽の夫婦だけどな。おそらく、融資をする代わりに㈱マグノリアを葛城グループの子会社にするのが親父の狙いだ。親族だからと納得させるために入籍させておきたい、ってところか」
頭の切れる会長は㈱グローイングではなく、私の会社に着目をしたようだ。
㈱マグノリアのほうが新規会員数も伸びているし、経営が順調だからだろう。
崖っぷちに立たされているのは父だと思っていたが、いつの間にか私に代わっていた。
「だけど会社の件は親父の好きにはさせない。サンセリテホテルのグループ会社にする方向で話をつける。絶対にそこだけは引かずに冬璃の会社を守るから」
「私の会社は、これからも今までどおり?」
「それは俺が保証する。安心しろ、俺は親父とは違う。冬璃を裏切ったりしない」
無意識に相当不安な表情をしていたのか、彼は私の腕を引き寄せて抱きしめた。
ギュッとではなく、ふわりと。
憲一朗さんではない、男性特有の香りがする。
「うん。社長として従業員を守りたいし、責任を持ちたい」
「だったら、結婚しよう」
束縒の提案に、私は一瞬言葉を失った。
彼の当初の策略では、婚約をしたあとか、もしくはその前に、破局したことにする予定だったはずだ。
「本当に婚姻届を出すの?」
「偽の夫婦だけどな。おそらく、融資をする代わりに㈱マグノリアを葛城グループの子会社にするのが親父の狙いだ。親族だからと納得させるために入籍させておきたい、ってところか」
頭の切れる会長は㈱グローイングではなく、私の会社に着目をしたようだ。
㈱マグノリアのほうが新規会員数も伸びているし、経営が順調だからだろう。
崖っぷちに立たされているのは父だと思っていたが、いつの間にか私に代わっていた。
「だけど会社の件は親父の好きにはさせない。サンセリテホテルのグループ会社にする方向で話をつける。絶対にそこだけは引かずに冬璃の会社を守るから」
「私の会社は、これからも今までどおり?」
「それは俺が保証する。安心しろ、俺は親父とは違う。冬璃を裏切ったりしない」
無意識に相当不安な表情をしていたのか、彼は私の腕を引き寄せて抱きしめた。
ギュッとではなく、ふわりと。
憲一朗さんではない、男性特有の香りがする。