怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
「でも、束縒はいいの? 私と結婚しても……」
どうして束縒はここまでよくしてくれるのだろう。
考えてみたら、彼にはなんの義務も負い目もない。私と結婚するメリットだってないのに。
「仕方ないから、俺が救世主になってやるよ」
体を離した束縒が、大きな右手で私の頭をポンポンと撫でる。
私にはこの道しかない。今は彼に助けてもらうしか方法がないのだ。
「笑えよ。いつもの笑顔はどうした?」
彼にはまだ心に余裕があるのか、私の頬をつまんで口角を上げてくる。
そうされても、すぐに胸の不安はぬぐえない。
けど、束縒が味方でいてくれるなら大丈夫だと思えた瞬間だった。
私たちは会長室に戻り、近々入籍をする旨を父たちに伝えた。
そして三週間後、私と父が葛城家に呼ばれる形で顔合わせをし、着々と日取りを決めた。
喪が明ける来年の三月に結婚を公表し、式と披露宴をおこなう。
招待客や細かなことは時間をかけて準備を進めていくこととなった。
テーブルの上に差し出された一枚の用紙。それは婚姻届だ。
目を通すと夫の欄にはすでに束縒の名が書かれてある。
私は全員が見ている前で署名をし、最後に判を押した。
無事に区役所で受理された私と束縒は、この日から夫と妻になった。
どうして束縒はここまでよくしてくれるのだろう。
考えてみたら、彼にはなんの義務も負い目もない。私と結婚するメリットだってないのに。
「仕方ないから、俺が救世主になってやるよ」
体を離した束縒が、大きな右手で私の頭をポンポンと撫でる。
私にはこの道しかない。今は彼に助けてもらうしか方法がないのだ。
「笑えよ。いつもの笑顔はどうした?」
彼にはまだ心に余裕があるのか、私の頬をつまんで口角を上げてくる。
そうされても、すぐに胸の不安はぬぐえない。
けど、束縒が味方でいてくれるなら大丈夫だと思えた瞬間だった。
私たちは会長室に戻り、近々入籍をする旨を父たちに伝えた。
そして三週間後、私と父が葛城家に呼ばれる形で顔合わせをし、着々と日取りを決めた。
喪が明ける来年の三月に結婚を公表し、式と披露宴をおこなう。
招待客や細かなことは時間をかけて準備を進めていくこととなった。
テーブルの上に差し出された一枚の用紙。それは婚姻届だ。
目を通すと夫の欄にはすでに束縒の名が書かれてある。
私は全員が見ている前で署名をし、最後に判を押した。
無事に区役所で受理された私と束縒は、この日から夫と妻になった。