怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
§3.新婚生活のはじまり
***
戸籍上結婚した私は、慣れ親しんだ家を出て、束縒が住んでいるマンションで一緒に暮らすこととなった。
マンションには部屋がいくつもあり、ふたりで住むとしても十分な広さなので、あえて新居は探さないつもりだ。
久米さんに手伝ってもらい、引っ越し業者によって運ばれてきた荷物の荷解きを始める。
今日はさすがに会社は休ませてもらった。
「さすが束縒さんですね。こんな大きなマンションにひとりでお住まいだったなんて」
久米さんは感嘆の声を上げつつキョロキョロと辺りを見回している。
自分が住む場所なので、私もあちこち見て回ったのだけれど、お風呂もトイレもすべて掃除が行き届いていて綺麗だった。
定期的にハウスクリーニングの業者が入っているかららしい。
「洋服は、細かなものはそこのチェストにしまおうかな。上着類はあっちのウォークインクローゼットに」
「そんなのがあるんですか?」
「うん。自由に使っていいって」
空いている部屋をひとつ与えられたので、私はここを自室にする予定だ。
あいまいに笑って答える私を見て、久米さんの笑みが自然と消えていく。
「正直、驚きました。好きだった男性が突然婚約したせいであんなに泣いていらしたのに、そこから一ヶ月後に束縒さんと電撃結婚されたので」
「…………」
「大丈夫ですか?」
戸籍上結婚した私は、慣れ親しんだ家を出て、束縒が住んでいるマンションで一緒に暮らすこととなった。
マンションには部屋がいくつもあり、ふたりで住むとしても十分な広さなので、あえて新居は探さないつもりだ。
久米さんに手伝ってもらい、引っ越し業者によって運ばれてきた荷物の荷解きを始める。
今日はさすがに会社は休ませてもらった。
「さすが束縒さんですね。こんな大きなマンションにひとりでお住まいだったなんて」
久米さんは感嘆の声を上げつつキョロキョロと辺りを見回している。
自分が住む場所なので、私もあちこち見て回ったのだけれど、お風呂もトイレもすべて掃除が行き届いていて綺麗だった。
定期的にハウスクリーニングの業者が入っているかららしい。
「洋服は、細かなものはそこのチェストにしまおうかな。上着類はあっちのウォークインクローゼットに」
「そんなのがあるんですか?」
「うん。自由に使っていいって」
空いている部屋をひとつ与えられたので、私はここを自室にする予定だ。
あいまいに笑って答える私を見て、久米さんの笑みが自然と消えていく。
「正直、驚きました。好きだった男性が突然婚約したせいであんなに泣いていらしたのに、そこから一ヶ月後に束縒さんと電撃結婚されたので」
「…………」
「大丈夫ですか?」