怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
 私に手を出すつもりはないのだろう。そんな素振りは皆無だ。
 だからといって、同じベッドで寝てもいいものかどうか……。

 私はあいまいに笑って扉を閉め、リビングのソファーで寝ることにした。
 クッションを枕にして横になったものの、ベッドとは違うので寝心地は良くはない。
 それでも床で眠るよりはマシだと言い聞かせ、リモコンで部屋の明かりを暗くした。


「なんでここで寝てるんだよ」


 どれくらい時間が経っただろう。時計を確認していないものの、真夜中だというのはわかる。
 私は目覚めと眠りのあいだでぼんやりとしていて、束縒の気配を感じているのに目が開かない。


「そんなに俺とベッドを共有するのが嫌なのか……」


 違う。私は単純に遠慮したのだ。
 一緒に寝たら、束縒はきっと精神的にストレスだろう、と。

 寝ぼけながら頭でそんな言い訳を並べていると、ふわりと自分の体が宙に浮いた。


「つ、束縒……」


 彼は私をやさしく横抱きにし、寝室のベッドにゆっくりと降ろした。


「起こして悪い。でも、あんなところで寝たら体が痛いから」

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