怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
薄明りの中、彼が困ったような複雑な表情をしているのがぼんやりと見えた。
「冬璃、おやすみ」
返事をしようと口を開きかけた瞬間、おでこに温かいものが触れた。
そのあと束縒の気配は遠ざかり、体を掛布団で覆われる。
今のは夢だったのかと思いつつも、私は眠気に負けて意識を手放した。
朝になり、目を覚ましてみれば、束縒の顔が至近距離にあって驚いた。
子どものころから知る仲だけれど、間近で寝顔を見たのは初めてだった。
相変わらずまつ毛が長いし、パーツはすべて整っていて、カッコいい顔をしている。
自然と見とれてしまっている自分に気づいた途端、心臓がドキドキして顔が熱くなってきた。
なぜガン見しているのだろう。
自分の行動にあきれながら、静かにベッドを降りて寝室から出る。
洗面台で顔を洗い、キッチンでコーヒーを淹れる。
出勤準備をするにもまだ時間があるので、ダイニングの椅子に腰をかけてホッとひと息ついた。
束縒から昨夜言われた“自分のことは自分で”というフレーズが、再び脳裏に浮かぶ。
料理が不得手な私が、ふたり分の朝食を作る予定にしていたのだけれど、あの言葉でブレーキがかかってすっかりやる気を失くした。
深夜まで仕事をしていた束縒は、ギリギリまで寝るつもりなのだろう。
着替えとメイクを済ませ、彼が起きてこないうちに会社に向かうため家を出た。
今、顔を合わせるのはなんだか気まずい。
「冬璃、おやすみ」
返事をしようと口を開きかけた瞬間、おでこに温かいものが触れた。
そのあと束縒の気配は遠ざかり、体を掛布団で覆われる。
今のは夢だったのかと思いつつも、私は眠気に負けて意識を手放した。
朝になり、目を覚ましてみれば、束縒の顔が至近距離にあって驚いた。
子どものころから知る仲だけれど、間近で寝顔を見たのは初めてだった。
相変わらずまつ毛が長いし、パーツはすべて整っていて、カッコいい顔をしている。
自然と見とれてしまっている自分に気づいた途端、心臓がドキドキして顔が熱くなってきた。
なぜガン見しているのだろう。
自分の行動にあきれながら、静かにベッドを降りて寝室から出る。
洗面台で顔を洗い、キッチンでコーヒーを淹れる。
出勤準備をするにもまだ時間があるので、ダイニングの椅子に腰をかけてホッとひと息ついた。
束縒から昨夜言われた“自分のことは自分で”というフレーズが、再び脳裏に浮かぶ。
料理が不得手な私が、ふたり分の朝食を作る予定にしていたのだけれど、あの言葉でブレーキがかかってすっかりやる気を失くした。
深夜まで仕事をしていた束縒は、ギリギリまで寝るつもりなのだろう。
着替えとメイクを済ませ、彼が起きてこないうちに会社に向かうため家を出た。
今、顔を合わせるのはなんだか気まずい。