怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
「今夜、デートでしたよね?」
久米さんの問いかけに、顔を綻ばせながらうなずいた。
忙しい私たちが互いに予定を調整し、久しぶりに今夜食事をする約束をしたのだ。
「サンセリテにね、先月新しいレストランがオープンしたの。そこに行ってみたいって話してて」
「サンセリテといえば……束縒さんのホテルですよね?」
「そうなの。だから束縒にメールして、席をリザーブしてもらっちゃった」
葛城 束縒とは父親同士が古い友人関係なので、私たちは同い年ということもあり、子どものころから自然と互いを良く知る間柄になった。
束縒のお父さんは㈱葛城リゾートのCEOで、国内のみならず海外にもリゾート開発を手掛けているすごい人だ。グループの会長でもある。
比べるまでもなく、うちの事業規模とは天と地ほど違う。
束縒と初めて会ったのは十歳のときだった。
学校が同じだとかそういう接点はなかったが、葛城家が主催するパーティーには子どもの私も行く機会が何度もあった。
『娘さんもぜひ一緒に』という社交辞令を真に受けた父が、私を連れて行きはするものの、子どもは子ども同士で遊びなさいと放置だったのだ。
葛城家には三歳年上で束縒の兄である伶司くんもいて、パーティーが行われている間は三人でよく遊んでいた。
伶司くんは昔からすごく面倒見がよくて朗らかで、こんな癒し系の人が私の兄だったらよかったのにと何度も思った。
しばらく会っていないけれど、元気にしているだろうか。
現在はハワイ在住で、葛城グループのリゾート地で働いていると聞いている。
弟の束縒は日本のホテル部門の法人を任されていて、それが私が今夜訪れる“サンセリテホテル”。彼はそこのCEOだ。
久米さんの問いかけに、顔を綻ばせながらうなずいた。
忙しい私たちが互いに予定を調整し、久しぶりに今夜食事をする約束をしたのだ。
「サンセリテにね、先月新しいレストランがオープンしたの。そこに行ってみたいって話してて」
「サンセリテといえば……束縒さんのホテルですよね?」
「そうなの。だから束縒にメールして、席をリザーブしてもらっちゃった」
葛城 束縒とは父親同士が古い友人関係なので、私たちは同い年ということもあり、子どものころから自然と互いを良く知る間柄になった。
束縒のお父さんは㈱葛城リゾートのCEOで、国内のみならず海外にもリゾート開発を手掛けているすごい人だ。グループの会長でもある。
比べるまでもなく、うちの事業規模とは天と地ほど違う。
束縒と初めて会ったのは十歳のときだった。
学校が同じだとかそういう接点はなかったが、葛城家が主催するパーティーには子どもの私も行く機会が何度もあった。
『娘さんもぜひ一緒に』という社交辞令を真に受けた父が、私を連れて行きはするものの、子どもは子ども同士で遊びなさいと放置だったのだ。
葛城家には三歳年上で束縒の兄である伶司くんもいて、パーティーが行われている間は三人でよく遊んでいた。
伶司くんは昔からすごく面倒見がよくて朗らかで、こんな癒し系の人が私の兄だったらよかったのにと何度も思った。
しばらく会っていないけれど、元気にしているだろうか。
現在はハワイ在住で、葛城グループのリゾート地で働いていると聞いている。
弟の束縒は日本のホテル部門の法人を任されていて、それが私が今夜訪れる“サンセリテホテル”。彼はそこのCEOだ。