怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
「いやぁでも、ビックリしたなぁ。束縒と冬璃ちゃんが結婚したって聞いて」
「ああ……うん」
「俺からしたら、弟と妹が急に夫婦になった気分だよ」
本当は愛し合って結婚したわけじゃないと知ったら、伶司くんはさぞ驚くだろうな。
偽装結婚のことは誰にも言わない約束だから、申し訳ないと思いつつも伶司くん相手でも話せない。
ここはあいまいに笑ってやりごさなければ。
「どうした? 新婚早々ケンカした?」
「ううん、違うけど。束縒ってなに考えてるのかわからないところがあるからね……」
「たしかに。でもアイツは言葉足らずだけど根はやさしいだろ?」
伶司くんの言うとおりだ。そこは私も理解している。
付け加えるなら愛想が足りない。
クールなのは性格だから仕方ないのだけれど、そこは損をしているのではないかと思う。
「俺、ハワイのリゾート地が好きで、向こうで働かせてくれって、ずっと前に親父に頼みこんだんだ。そのせいでアイツにシワ寄せが行っても文句ひとつ言わないもんな」
「シワ寄せ?」
「俺がこの先もずっとハワイにいるなら、会社の後継者は束縒になる。束縒のほうがビジネスの才能があるし、俺は元から会社を継ぐ気はなかったからそれでいいけど、後継者を自然と押しつけられた束縒は親父に支配されて窮屈だろうな。そこは申し訳ないと思ってるんだ」
「ああ……うん」
「俺からしたら、弟と妹が急に夫婦になった気分だよ」
本当は愛し合って結婚したわけじゃないと知ったら、伶司くんはさぞ驚くだろうな。
偽装結婚のことは誰にも言わない約束だから、申し訳ないと思いつつも伶司くん相手でも話せない。
ここはあいまいに笑ってやりごさなければ。
「どうした? 新婚早々ケンカした?」
「ううん、違うけど。束縒ってなに考えてるのかわからないところがあるからね……」
「たしかに。でもアイツは言葉足らずだけど根はやさしいだろ?」
伶司くんの言うとおりだ。そこは私も理解している。
付け加えるなら愛想が足りない。
クールなのは性格だから仕方ないのだけれど、そこは損をしているのではないかと思う。
「俺、ハワイのリゾート地が好きで、向こうで働かせてくれって、ずっと前に親父に頼みこんだんだ。そのせいでアイツにシワ寄せが行っても文句ひとつ言わないもんな」
「シワ寄せ?」
「俺がこの先もずっとハワイにいるなら、会社の後継者は束縒になる。束縒のほうがビジネスの才能があるし、俺は元から会社を継ぐ気はなかったからそれでいいけど、後継者を自然と押しつけられた束縒は親父に支配されて窮屈だろうな。そこは申し訳ないと思ってるんだ」