怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
伶司くんが自分のやりたいことを見つけ、そちらに進んだが故に、束縒は後継者という立場から逃げられなくなったとも言える。
性格的に愚痴をこぼすタイプではないから本当のところはわからないけれど、束縒自身はそれで納得しているのだろうか。
「これからは冬璃ちゃんがアイツのそばにいてくれるから、すごく心強い」
「私は妻としてはなんの役にも立ってないよ」
「それはない。幼馴染で気心も知れてる仲じゃないか。とはいえ、一緒に暮らし始めたら最初はうまくいかないこともあるよ。まぁ……焦りは禁物」
私の微妙な表情を読み取ったのか、伶司くんは最後に慰めるようなニュアンスでそう言った。
ダメだ。これでは“新婚早々悩んでいる妻”になってしまう。私はあわててニコニコと明るい笑みをたたえる。
私と束縒は、子どものころからの知り合いというだけだ。
たしかに最近は顔を見て話す機会も多々あったけれど、それは仕事に関することばかりだった。
私が憲一朗さんに思いを寄せていたときも、束縒は特に突っ込んで聞いてはこなかったし、私も彼の恋愛事情はよく知らない。
きっと、束縒のことを一番よく知っているのは秘書の諸角さんだ。
彼女の性格を考えたら、仕事だけでなくプライベートもある程度把握しているはず。
私と束縒の突然の結婚には、諸角さんは驚くのと同時に不信感を抱いているだろう。
そしておそらくだけれど、私を恨んでいると思う。
性格的に愚痴をこぼすタイプではないから本当のところはわからないけれど、束縒自身はそれで納得しているのだろうか。
「これからは冬璃ちゃんがアイツのそばにいてくれるから、すごく心強い」
「私は妻としてはなんの役にも立ってないよ」
「それはない。幼馴染で気心も知れてる仲じゃないか。とはいえ、一緒に暮らし始めたら最初はうまくいかないこともあるよ。まぁ……焦りは禁物」
私の微妙な表情を読み取ったのか、伶司くんは最後に慰めるようなニュアンスでそう言った。
ダメだ。これでは“新婚早々悩んでいる妻”になってしまう。私はあわててニコニコと明るい笑みをたたえる。
私と束縒は、子どものころからの知り合いというだけだ。
たしかに最近は顔を見て話す機会も多々あったけれど、それは仕事に関することばかりだった。
私が憲一朗さんに思いを寄せていたときも、束縒は特に突っ込んで聞いてはこなかったし、私も彼の恋愛事情はよく知らない。
きっと、束縒のことを一番よく知っているのは秘書の諸角さんだ。
彼女の性格を考えたら、仕事だけでなくプライベートもある程度把握しているはず。
私と束縒の突然の結婚には、諸角さんは驚くのと同時に不信感を抱いているだろう。
そしておそらくだけれど、私を恨んでいると思う。