怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
 話をしていると、ガチャッと玄関扉の開く音がして束縒が帰宅した。
「おかえり」と声をかける伶司くんに対し、束縒は一瞬あきれたように天を仰いだ。


「兄貴はなんでいつも突然来るんだ?」

「それは……サプラ~イズ!」

「世の中にはスマホっていう優れた機械があるんだから、連絡くらいしろよ」


 ケラケラと明るく笑う伶司くんに、束縒が冷ややかな視線を送っている。
 この兄弟は昔からこんな感じだ。変わらないやりとりを見ると、なんだかホッとする。

 頼んでいたお寿司も届き、三人で食卓を囲んだ。
 伶司くんがいるだけで家の中の雰囲気がいつもと全然違う。


「兄より先に結婚した弟を祝いたくて来たんだから、もっと歓迎しろよ~」


 伶司くんは笑いつつ、いつの間にかダイニングテーブルのそばに持ってきていたペーパーバッグを束縒に渡した。


「あらためて、結婚おめでとう」

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