怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
当日、用があってホテルに立ち寄れば、カフェで紅茶を飲みながら相手を待つ冬璃を見つけた。
普段俺と会うときは仕事がらみなので、服装はたいていビジネススタイルだ。だけどこの日は全然違った。
上品な白のワンピース姿が、透明感があってたまらなくかわいい。
今から好きな男と食事をする予定の、ウキウキとした冬璃を前にしながら、うまくいきませんようにと願った。
平静を装って会話をしていたものの、心の中では嫉妬していた。
彼女の泣き顔は見たくないが、ほかの男と付き合ってほしくもない。我ながら矛盾していてモヤモヤする。
諸角に急かされ、この近くの料亭に場所を変更した会食へと向かう。
俺はこういう場では深酒しないようにしているが、時間が経つと共に取引先の人たちは酒が進んでいてけっこう酔っていた。
「ネットにビッグニュースが上がってますよ!」
三十代の男性がスマホを掲げながら大声を出し、皆が一斉にそちらを向く。
「フリーキャスターの友永 奈緒が婚約を発表したって。今から記者会見するらしいです」
「ああ、夕方のニュース番組に出てる色気のある女性キャスター?」
友永 奈緒は、なんせ女優顔負けの美人なので、この場にいる全員が彼女の話題に食いついた。
俺はたいして興味はないが、一応耳だけは傾ける。
「相手は誰です? 噂になってたサッカー選手?」
「いえ、実業家の野島……憲一朗? 知らないなぁ、こんな人」
「たまにテレビに出てますよ。コメンテーターとして」
普段俺と会うときは仕事がらみなので、服装はたいていビジネススタイルだ。だけどこの日は全然違った。
上品な白のワンピース姿が、透明感があってたまらなくかわいい。
今から好きな男と食事をする予定の、ウキウキとした冬璃を前にしながら、うまくいきませんようにと願った。
平静を装って会話をしていたものの、心の中では嫉妬していた。
彼女の泣き顔は見たくないが、ほかの男と付き合ってほしくもない。我ながら矛盾していてモヤモヤする。
諸角に急かされ、この近くの料亭に場所を変更した会食へと向かう。
俺はこういう場では深酒しないようにしているが、時間が経つと共に取引先の人たちは酒が進んでいてけっこう酔っていた。
「ネットにビッグニュースが上がってますよ!」
三十代の男性がスマホを掲げながら大声を出し、皆が一斉にそちらを向く。
「フリーキャスターの友永 奈緒が婚約を発表したって。今から記者会見するらしいです」
「ああ、夕方のニュース番組に出てる色気のある女性キャスター?」
友永 奈緒は、なんせ女優顔負けの美人なので、この場にいる全員が彼女の話題に食いついた。
俺はたいして興味はないが、一応耳だけは傾ける。
「相手は誰です? 噂になってたサッカー選手?」
「いえ、実業家の野島……憲一朗? 知らないなぁ、こんな人」
「たまにテレビに出てますよ。コメンテーターとして」