怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
箸を持ったままの状態で体が一瞬フリーズした。
おそらく、俺が名前を聞き間違えたのだ。そんなはずはない、とあわてて自分のスマホでニュースをチェックする。
だが、報道は事実だし、婚約相手である男性も冬璃とデートをしているはずの野島だった。
待て。じゃあ冬璃は今どうしている?
トイレに行くふりをして席をはずし、冬璃に電話をかけようとしたけれど、こんなときに限ってスマホの充電が切れた。
俺は急用ができた旨を伝え、丁寧にあいさつをしてこの場をあとにした。
向かう先はサンセリテホテル。
冬璃はもう帰っただろうか。
とにかく全速力で走り、レストランのスタッフに尋ねたところ、まだ個室にこもっているという。
ノックもなしに個室の扉を開ける俺を見て、冬璃はキョトンとしていた。
例の報道をまだ知らないようだ。
俺がネットニュースの話をすると、彼女はあわててスマホを操作する。
取り乱す冬璃を、俺はただ抱きしめることしかできなかった。
俺の胸の中で小さく震えているのがわかり、いたたまれない気持ちになる。
「とにかくアイツはクソ野郎だってことだ」
そんな言葉が自然に出てきたものの、俺も似たようなものだと思う。
冬璃が野島を好きなのを知っていて、うまくいかないように願ったのだから。
だけど、冬璃をこんなに泣かせたかったわけではない。
ふたりの女を天秤にかけた野島は、本当に最低な野郎だ。
だからあんな男のために泣かないでほしい。その綺麗な涙がもったいない。
おそらく、俺が名前を聞き間違えたのだ。そんなはずはない、とあわてて自分のスマホでニュースをチェックする。
だが、報道は事実だし、婚約相手である男性も冬璃とデートをしているはずの野島だった。
待て。じゃあ冬璃は今どうしている?
トイレに行くふりをして席をはずし、冬璃に電話をかけようとしたけれど、こんなときに限ってスマホの充電が切れた。
俺は急用ができた旨を伝え、丁寧にあいさつをしてこの場をあとにした。
向かう先はサンセリテホテル。
冬璃はもう帰っただろうか。
とにかく全速力で走り、レストランのスタッフに尋ねたところ、まだ個室にこもっているという。
ノックもなしに個室の扉を開ける俺を見て、冬璃はキョトンとしていた。
例の報道をまだ知らないようだ。
俺がネットニュースの話をすると、彼女はあわててスマホを操作する。
取り乱す冬璃を、俺はただ抱きしめることしかできなかった。
俺の胸の中で小さく震えているのがわかり、いたたまれない気持ちになる。
「とにかくアイツはクソ野郎だってことだ」
そんな言葉が自然に出てきたものの、俺も似たようなものだと思う。
冬璃が野島を好きなのを知っていて、うまくいかないように願ったのだから。
だけど、冬璃をこんなに泣かせたかったわけではない。
ふたりの女を天秤にかけた野島は、本当に最低な野郎だ。
だからあんな男のために泣かないでほしい。その綺麗な涙がもったいない。