怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
日中の暑さが落ち着いてきた九月のある日、俺は父に呼び出されて㈱葛城リゾートの本社へ向かう。
会長室に入り、「お疲れさまです」と声をかければ、ソファーに座るように促された。
「束縒、沖縄のこのリゾート地なんだが……」
父はあらかじめ用意していた書類をテーブルの上に広げて話を始めた。
「いいビーチだろ?」
「はい。ここは毎年観光客が多いと聞いています」
「土地を購入しようと考えてる。で、この辺りにサンセリテのホテルを建ててだな……」
地図がプリントされた紙を俺に突き出し、父が検討をつけている場所にグルリと丸をつけた。
もうすでに土地売買の交渉は始まっているのかもしれない。
「俺はスキー場の施設の件で時間が取れないから、お前が沖縄まで行って現地を視察してきてくれ」
「承知しました」
「ホテル内にエステサロンを入れるなら、冬璃さんにも手伝ってもらうといい」
ふと、先に釘を刺しておくべきではないかと、咄嗟に脳内で警鐘が鳴った。
父になにか先手を打たれ、俺が後手に回るのは非常にまずい。
会長室に入り、「お疲れさまです」と声をかければ、ソファーに座るように促された。
「束縒、沖縄のこのリゾート地なんだが……」
父はあらかじめ用意していた書類をテーブルの上に広げて話を始めた。
「いいビーチだろ?」
「はい。ここは毎年観光客が多いと聞いています」
「土地を購入しようと考えてる。で、この辺りにサンセリテのホテルを建ててだな……」
地図がプリントされた紙を俺に突き出し、父が検討をつけている場所にグルリと丸をつけた。
もうすでに土地売買の交渉は始まっているのかもしれない。
「俺はスキー場の施設の件で時間が取れないから、お前が沖縄まで行って現地を視察してきてくれ」
「承知しました」
「ホテル内にエステサロンを入れるなら、冬璃さんにも手伝ってもらうといい」
ふと、先に釘を刺しておくべきではないかと、咄嗟に脳内で警鐘が鳴った。
父になにか先手を打たれ、俺が後手に回るのは非常にまずい。