怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
§5.支え合う存在
***
十二月に入ると、束縒は日に日に帰宅時間が遅くなった。
沖縄のリゾートホテル建設の件もあって、仕事が立て込んでいるようだ。
この日、私は仕事の打ち合わせでサンセリテホテルの本社へ赴いた。
㈱葛城リゾートとは別のビルで、比べてしまうとここは幾分敷地は狭い。とはいえ、立派な自社ビルだ。
社長室に案内されると、朝見たときより疲れた顔をした束縒がいた。眉間にシワを寄せながらパソコン画面を睨んでいる。
「おぅ、お疲れ」
「お疲れ様。束縒、大丈夫? なんか顔色が悪いよ?」
「そうか? 平気だ」
束縒はそう言いながら、デスクの上の資料を手にして応接テーブルのほうへやってくる。
同時に扉をノックする音が聞こえ、入室してきた諸角さんが私にお茶を出してくれた。
外は寒かったので、湯気の立った温かいお茶は素直にうれしい。
「お疲れのようでしたので、社長にはこちらを」
私には日本茶だったけれど、彼女が束縒に対して差し出したのはビンに入った栄養ドリンクだった。
束縒はそれを見て一瞬眉をひそめたが、ミーティング前にトイレを済ませるために一旦部屋を出て行く。
そうなると、残された私は諸角さんとふたりきり。
お茶を出し終えたはずの彼女はなぜかすぐに立ち去ろうとしなくて、自然と気まずい空気が流れた。
十二月に入ると、束縒は日に日に帰宅時間が遅くなった。
沖縄のリゾートホテル建設の件もあって、仕事が立て込んでいるようだ。
この日、私は仕事の打ち合わせでサンセリテホテルの本社へ赴いた。
㈱葛城リゾートとは別のビルで、比べてしまうとここは幾分敷地は狭い。とはいえ、立派な自社ビルだ。
社長室に案内されると、朝見たときより疲れた顔をした束縒がいた。眉間にシワを寄せながらパソコン画面を睨んでいる。
「おぅ、お疲れ」
「お疲れ様。束縒、大丈夫? なんか顔色が悪いよ?」
「そうか? 平気だ」
束縒はそう言いながら、デスクの上の資料を手にして応接テーブルのほうへやってくる。
同時に扉をノックする音が聞こえ、入室してきた諸角さんが私にお茶を出してくれた。
外は寒かったので、湯気の立った温かいお茶は素直にうれしい。
「お疲れのようでしたので、社長にはこちらを」
私には日本茶だったけれど、彼女が束縒に対して差し出したのはビンに入った栄養ドリンクだった。
束縒はそれを見て一瞬眉をひそめたが、ミーティング前にトイレを済ませるために一旦部屋を出て行く。
そうなると、残された私は諸角さんとふたりきり。
お茶を出し終えたはずの彼女はなぜかすぐに立ち去ろうとしなくて、自然と気まずい空気が流れた。