怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
「奥様もお仕事がおありなので忙しいのは承知していますが、もう少し社長を気にかけてもいいのではないですか? それとも、急に夫になった社長に対して愛情がないのでしょうか」
私はふるふると首を横に振って否定をしつつ、彼女の顔色をうかがった。最後の言い方が意味深だったから。
諸角さんはなにか気づいているのかもしれない。
「私は今日、お昼に社長に召し上がっていただきたくて、初めてサンドイッチを作ってきたんです。でも、私の手づくりなら食べることはできないと断られました。あなたが聞いたら気を悪くするからでしょう」
「なんか……すみません」
「だいたい、どうして社長がこんな目に合わないといけないんですか。あなたのお父様への融資を後押しして以降、社長は会長からの要求にこたえ、体を壊しそうになってまで仕事をして。全部あなたのせいです!」
今の言葉を聞き、私は下げていた視線を瞬時に上げた。
束縒が毎日忙しくしている理由が私のせいだったなんて全然知らなかった。
師走に入ったからあれこれ多忙なのだろうと、そんなふうに呑気に考えていた。
「横領事件についてはお気の毒だとは思います。だけど、社長まで巻き込んで不幸にしないでください」
「あの、ごめんなさい。私、頭が混乱して……」
「悲劇のヒロイン気取りですか? 私からすれば社長に守られているあなたは不幸でもなんでもない。なにもわかっていないあなたに腹が立ちます」
彼女は今の言葉をいつか私にぶつけようと、ずっと胸の中に溜め込んでいたのだと思う。
そんな想像をしてしまうくらい、諸角さんの表情は必死だ。
私はふるふると首を横に振って否定をしつつ、彼女の顔色をうかがった。最後の言い方が意味深だったから。
諸角さんはなにか気づいているのかもしれない。
「私は今日、お昼に社長に召し上がっていただきたくて、初めてサンドイッチを作ってきたんです。でも、私の手づくりなら食べることはできないと断られました。あなたが聞いたら気を悪くするからでしょう」
「なんか……すみません」
「だいたい、どうして社長がこんな目に合わないといけないんですか。あなたのお父様への融資を後押しして以降、社長は会長からの要求にこたえ、体を壊しそうになってまで仕事をして。全部あなたのせいです!」
今の言葉を聞き、私は下げていた視線を瞬時に上げた。
束縒が毎日忙しくしている理由が私のせいだったなんて全然知らなかった。
師走に入ったからあれこれ多忙なのだろうと、そんなふうに呑気に考えていた。
「横領事件についてはお気の毒だとは思います。だけど、社長まで巻き込んで不幸にしないでください」
「あの、ごめんなさい。私、頭が混乱して……」
「悲劇のヒロイン気取りですか? 私からすれば社長に守られているあなたは不幸でもなんでもない。なにもわかっていないあなたに腹が立ちます」
彼女は今の言葉をいつか私にぶつけようと、ずっと胸の中に溜め込んでいたのだと思う。
そんな想像をしてしまうくらい、諸角さんの表情は必死だ。