怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
「予約、ありがとね」
「個室を用意しといた。相手は有名人だから人目につくのは避けたいだろ?」
「さすが束縒!」
私がエヘヘとおどけるように笑みを向ければ、束縒も気が抜けたように苦笑いをした。
彼を子どものころから知っているが、束縒は兄の伶司くんと違って昔からどことなくツンとしていて、かわいい性格だとは言えない。
私はどちらかというと朗らかな伶司くんにかまってもらっていたので、そちらに懐いていたくらいだ。
けれど私がCEOに就任してから、仕事を通してなにかと束縒とは接点が増えるようになった。
今では我が社と業務提携してもらっているし、彼にはけっこうお世話になっている。
「その笑顔は“人たらし”だよな。相手はたいてい折れて冬璃の頼みを聞く」
「そんなことないよ! まるで私がいつもワガママばっかり言ってるみたいじゃないの」
あわてて抗議をする私がおかしかったのか、束縒が綺麗な顔を崩してアハハと笑った。
「ていうか今日はどうしたんだ? 誕生日でもないのに、いつもより綺麗な格好してるな」
仕事をしているときの服装と今日のデート服を比べたら、自然とそういう感想になるのはわかるけれど、束縒は昔から些細な変化に気づくタイプだ。
「だって……サンセリテのレストランで食事するんだし、オシャレしてこないとね」
「それはどうも」
「個室を用意しといた。相手は有名人だから人目につくのは避けたいだろ?」
「さすが束縒!」
私がエヘヘとおどけるように笑みを向ければ、束縒も気が抜けたように苦笑いをした。
彼を子どものころから知っているが、束縒は兄の伶司くんと違って昔からどことなくツンとしていて、かわいい性格だとは言えない。
私はどちらかというと朗らかな伶司くんにかまってもらっていたので、そちらに懐いていたくらいだ。
けれど私がCEOに就任してから、仕事を通してなにかと束縒とは接点が増えるようになった。
今では我が社と業務提携してもらっているし、彼にはけっこうお世話になっている。
「その笑顔は“人たらし”だよな。相手はたいてい折れて冬璃の頼みを聞く」
「そんなことないよ! まるで私がいつもワガママばっかり言ってるみたいじゃないの」
あわてて抗議をする私がおかしかったのか、束縒が綺麗な顔を崩してアハハと笑った。
「ていうか今日はどうしたんだ? 誕生日でもないのに、いつもより綺麗な格好してるな」
仕事をしているときの服装と今日のデート服を比べたら、自然とそういう感想になるのはわかるけれど、束縒は昔から些細な変化に気づくタイプだ。
「だって……サンセリテのレストランで食事するんだし、オシャレしてこないとね」
「それはどうも」