怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
 額が思いのほか熱くて驚いた。正確にはわからないが、かなりの高熱だと思う。
 私はあわてて束縒の腕を引き、寝室のベッドに彼を寝かせた。

 リビングに戻って体温計を探す。そういえば救急箱の中にあったような、なかったような……。
 なければコンビニに買いに行こうか。

 タイミングよく、スーパーでスポーツドリンクだけは購入しておいた。
 それは使えるとしても、経口補水液やビタミン入りのゼリーなどもあったほうがいいだろう。
 あとは、おでこに貼る冷却シートとか。

 救急箱の中を調べてみると、かろうじて体温計は見つかった。
 だけど使えそうなものはそれくらいで、あとは買わなければいけないようだ。


「束縒……」


 ベッドのそばで膝まづき、まだ眠ってはいなかった彼に声をかけた。


「体温計見つけた。熱を計ろう」

「……嫌だ」

「…………」


 まさかの拒絶だ。私は意味がわからなくて一瞬言葉に詰まってしまう。

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