怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
私はキッチンで氷水と小さなタオルを準備して寝室に戻った。
冷却シートを買ってくるまでのあいだ、束縒の額を少しでも冷やすためだ。
「うぅ……つめてぇ」
「冷たすぎたかな? けど、すぐ熱くなっちゃうよ」
「ありがとな。俺、だれかに看病してもらったのなんて、子どものころ以来だ」
偽装結婚とはいえ妻なのだから、具合が悪いときには看病しないと私はバチが当たると思う。
束縒をこんな目に合わせたのは、ある意味私だ。
「束縒、ごめんね。私のせいで仕事が忙しくなったからだよね」
「違う」
「……違わないでしょ」
束縒は布団から左手を出し、ベッドの縁にちょこんと置いていた私の右手を上から包み込むように覆った。
「諸角がなにか言ったのかもしれないけど気にするな。これは俺の体調管理の問題だ。冬璃のせいじゃない。風邪なんかすぐ治るって」
大げさに心配しすぎだとばかりに、彼はヘラリと笑ってみせた。
高熱で息をするのもしんどそうなのに。
冷却シートを買ってくるまでのあいだ、束縒の額を少しでも冷やすためだ。
「うぅ……つめてぇ」
「冷たすぎたかな? けど、すぐ熱くなっちゃうよ」
「ありがとな。俺、だれかに看病してもらったのなんて、子どものころ以来だ」
偽装結婚とはいえ妻なのだから、具合が悪いときには看病しないと私はバチが当たると思う。
束縒をこんな目に合わせたのは、ある意味私だ。
「束縒、ごめんね。私のせいで仕事が忙しくなったからだよね」
「違う」
「……違わないでしょ」
束縒は布団から左手を出し、ベッドの縁にちょこんと置いていた私の右手を上から包み込むように覆った。
「諸角がなにか言ったのかもしれないけど気にするな。これは俺の体調管理の問題だ。冬璃のせいじゃない。風邪なんかすぐ治るって」
大げさに心配しすぎだとばかりに、彼はヘラリと笑ってみせた。
高熱で息をするのもしんどそうなのに。