怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
元々、友永さんのSNSに憲一朗さんの話や写真が載せられることはなかった。
だけど以前に唯一アップしていた婚約報告の投稿を、最近彼女が意図的に削除したらしく、そのせいで別れたのではないかと憶測を呼んでいる。
たしかに婚約して半年以上経つものの、ふたりが入籍を済ませたニュースは入ってきていなかった。
結婚したならしたで、会見せずともSNSで発表だけはしてもいいのに。
憲一朗さんが私と話したいとメールしてきたのは、きっとこの件が絡んでいるのだろう。
たとえ婚約者とうまくいっていないのだとしても、私に相談するのは筋違いではないか。
ダイニングでオレンジジュースを飲みながらトーストを食べていると、出勤の支度を終えた束縒がやってきてキッチンでコーヒーを淹れる。
コーヒーは会社でも飲む機会が多いだろうから、胃に負担がかからないか実は少し心配だ。
「おはよ。冬璃、風邪は大丈夫か?」
「うん、もう治ったよ」
処方された薬を飲んで睡眠をたっぷりと取ったためか、幸い風邪はひどくならないまま体調が戻った。
「あのとき、俺がうつしたっぽいよな」
こんがりと焼けたトーストを皿に乗せ、束縒が意味深な言葉を口にしつつ私の向かい側に座ったので、恥ずかしくなって思わず視線を逸らせた。
あれは熱に浮かされたせいではなかったのかどうか、きちんと確認してみようかと顔を上げたのだけれど、束縒はスマホを眺めながら固まっていた。
キュッと眉をひそめたので、憲一朗さんの記事を目にしたのかもしれない。
そう思ったが、束縒がなにも言わないので私も気づかないフリをしておいた。
だけど以前に唯一アップしていた婚約報告の投稿を、最近彼女が意図的に削除したらしく、そのせいで別れたのではないかと憶測を呼んでいる。
たしかに婚約して半年以上経つものの、ふたりが入籍を済ませたニュースは入ってきていなかった。
結婚したならしたで、会見せずともSNSで発表だけはしてもいいのに。
憲一朗さんが私と話したいとメールしてきたのは、きっとこの件が絡んでいるのだろう。
たとえ婚約者とうまくいっていないのだとしても、私に相談するのは筋違いではないか。
ダイニングでオレンジジュースを飲みながらトーストを食べていると、出勤の支度を終えた束縒がやってきてキッチンでコーヒーを淹れる。
コーヒーは会社でも飲む機会が多いだろうから、胃に負担がかからないか実は少し心配だ。
「おはよ。冬璃、風邪は大丈夫か?」
「うん、もう治ったよ」
処方された薬を飲んで睡眠をたっぷりと取ったためか、幸い風邪はひどくならないまま体調が戻った。
「あのとき、俺がうつしたっぽいよな」
こんがりと焼けたトーストを皿に乗せ、束縒が意味深な言葉を口にしつつ私の向かい側に座ったので、恥ずかしくなって思わず視線を逸らせた。
あれは熱に浮かされたせいではなかったのかどうか、きちんと確認してみようかと顔を上げたのだけれど、束縒はスマホを眺めながら固まっていた。
キュッと眉をひそめたので、憲一朗さんの記事を目にしたのかもしれない。
そう思ったが、束縒がなにも言わないので私も気づかないフリをしておいた。