そして君のいない夏が来る
遠い空
少し寒くなり出した頃だった。
いつも変わらぬ空。
今日も俺は大学に行く。
何もかも平凡でただ普通に育った俺は今日もこの門をくぐる。
あぁ天気予報見忘れたな。なんて思いながら教室に向かう。
ほとんどがグループを作り、話をしたり盛り上がっている。
もちろん俺は、1人。
やがて、先生が来て場が静まる。
小中は毎回学年トップ。
しかし、高校になってから一気に勉強が難しくなり、大学生になってからは追いつくのに必死になっていった。
バンッ
急に扉が開いた。
一斉にみんなが扉に目をやる。
先生は驚きもせず、その子を前に呼んだ。
見たことのない顔でジロジロとみんなの目を奪う。
こんな辺な時期に転校生か?と少し気になった。
「成瀬博美です。仲良くしてくれると嬉しいです。」
彼女は横髪を手でグルグルして、恥ずかしそうに自己紹介をした。
まるでその容姿は俺のタイプにピッタリだった。
揃った顔のパーツ。肌が白く華奢。パッツンと肩で揃えられた髪。
どこからともなく優しい印象を与えてくる。
その子が気になってジロジロと見入ってしまう。
やがて休み時間になり、俺は決心をつけた。
その途端大勢の女子たちが成瀬さんに近寄り、質問攻め。
その女子たちはいわゆる一軍女子。
俺は話しかけるのをやめて席についた。
全ての授業が終わり、いつもの通り門をくぐる。
その時
「あの」
聞いたことのあるような、ないような声が聞こえた。
反射的に後ろを向くと
成瀬さんだった。
俺はびっくりして固まっていると、「私のそばにいてください」と言われた。
「ごめんねッやっぱだめだよね?」
と可愛く聞いてくるので思わず了承してしまった。
それからは、お互い呼び捨てになり仲も深まった。
ある日、そばにいるための条件を聞かされた。