夜が明けたら君に幸せを。

最後の夜

「忘れ物はない?あ、これお弁当ね。容器は捨てられるようになってるから。料理とか久しぶりでほとんど冷凍なんだけど…」


「ううん、全然いいよ。ありがとう」



玄関でお母さんが渡してくれたお弁当を鞄の中に入れる。



「じゃあ…いってきます」


「うん、いってらっしゃい」



優しく微笑んだお母さんに手を振って家を出る。


家の前ではいつも通り玲音が待っていた。



「珍しいな、おばさんが見送ってくれてたの」


「うん。これからちょっとずつお母さんと変わっていくって決めたの」


「そっか」



玲音は短く答えたけど、少しだけ嬉しそうだった。



「明日香ー!おはよーう!ついに今日から修学旅行だね!ワクワクしちゃうー!」



学校の前にすでにいた花音が興奮気味に抱きついてきた。


空港まで学校からバスで行くため事前に学校集合となっていたのだが、まだ二十分前だというのにほぼクラスメイトは揃っている。



「バスの座席どこらへんだったっけ?たしか後ろから二番目とかだったよね」



バスに花音と乗り込みながらキョロキョロと辺りを見渡す。


バスの座席は私と花音、その後ろに朝陽と櫻井くんと玲音が三人で座ることになっていた。
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