夜が明けたら君に幸せを。
「へぇー朝陽は一人っ子なんだ。うちとおんなじだね。私も共働きってやつだから、いつも家で一人なんだ」


「そうなんだ…。なんか似てるね、俺たち…」



朝陽が少し嬉しそうに、照れくさそうに笑った。



「そうだね。一人は寂しいけど、でもこの生活が嫌だって思ったことは一度もないよ」


「え?なんで…?」


「日曜日はお母さんとお父さんが休みの日だから、車でちょっと遠くに連れて行ってもらえるんだ。だから平気なの。一人ぼっちの毎日は辛いけど、少し我慢しちゃえば楽しみだってあるから」


「そうなんだ…。明日香はいいね。俺はお父さんと出かけたのなんて…ずっと昔だよ」



朝陽が落ち込んだように俯いてしまい、ハッと余計なことを言ってしまったと気づく。



「…あ!そうだ、朝陽。見てて」


「え?」



乗っていたブランコの上に立ち上がり、ぐんぐんと大きく漕いでいく。


ある程度の高さになったところで、勢いをつけ手を離してぴょーんと大きく飛んで仕切りを飛び越え着地する。


…が、下が砂利だったからかずるりと滑ってそのまますっ転ぶ。



「うわあ!明日香!?大丈夫!?」


「いてて…。新記録出して朝陽を驚かせようと思ったのに…」
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