夜が明けたら君に幸せを。
優しく笑いながら小指を高く掲げた朝陽に、私も小指を突き出して笑った。






…そうだ。私、ずっと昔に朝陽と会ったことがあった。


どうして忘れていたんだろう。



––––– 「昔に一度だけ会った女の子が言ってたんだ。“今日が泣くほど辛かったなら、きっと明日は楽しいよ”って」


あれは私のことだったんだ…。



––––– 「“もう明日香に会いたい”朝陽より」


私も朝陽に会いたい。


ねえ朝陽。今、どこにいるの…?





「ん…」


「明日香…?」



目を覚ますと、玲音が心配そうな表情で私を覗き込んでいた。



「あれ…私…はっ、そうだ。ねえ何があったの!?すごい衝撃で気づいたら…」



勢いよく起き上がったせいか、包帯の巻かれていた頭がずきっと軽く痛んだ。


あれは…バス事故?何かがぶつかった?
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