夜が明けたら君に幸せを。
「明日香…?」



ずっと夢じゃなければいいと思っていたのに。


私がいたあの世界は、もうないんだ。



–––––「そうだ、さっきの質問。朝陽だったらなんて答えるの?」


いつだったか朝陽に聞いた言葉をふと思い出す。


そうだあれは、もし明日死ぬってわかったらどうする?という質問で朝陽はたしか…。



––––– 「…俺は約束を守りにいく、かな」



「約束…」



––––– 「もしも…明日香が苦しんで困ったその時は、俺が必ず助けるよ!約束!」


…そっか。朝陽は私の約束を守ってくれたんだ。


私が死にたいくらい苦しくて辛かったから、この世界から連れ出してくれたんだ。



「明日香…。ごめんな、苦しんでいることに気づいてあげられなくて。俺、自分のことで精一杯だったから。ずっと明日香が心配だったのに…そばを離れてごめん」



泣きながら必死に首を振る。



「違うよ…私だって一緒。玲音のそばにいてあげればよかった。見て見ぬふりしてたんだから…っ」



あの世界の玲音はよく笑っていた。
< 110 / 117 >

この作品をシェア

pagetop