夜が明けたら君に幸せを。
高校(ここ)でも、誰とも関わらないつもりなの?」


「うん」


「…そうか」



なんとも言えない微妙な空気が私たちの間に漂い、そっぽを向く。



窓からは、風によって桜の花びらが一枚舞い降りてきた。


…ああ、本当に春なんだなあ。





「自己紹介も終わったことだし、今から十分間、フリートークタイムを設けます。この十分間は席を立っても、近くの人と話すでもなんでも構いません。自由に話して、少しでも仲を深められるようにね。それじゃあ、始め!」



担任の袴田(はかまだ)先生の合図で、クラスメイト達が一斉に話し始めた。



…何、この地獄の時間。


こんなこと、A組の担任はやらなかった。


面倒くさいことこの上ないし、それにみんなはまだ私の性格を知らないから……。



「ねえ、私、柏木花音(かしわぎかのん)!たしか如月明日香ちゃん…だよね、名前!どこ中から来たの?私はねー」



…ほら、こうやって話しかけられるんだ。
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